研究課題/領域番号 |
19H03827
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
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研究分担者 |
安原 理佳 昭和大学, 歯学部, 講師 (20453649)
大庭 伸介 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (20466733)
田中 準一 昭和大学, 歯学部, 講師 (40710166)
辻 孝 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (50339131)
渡辺 貴志 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (50406815)
馬渕 洋 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50424172)
上野 博夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (60332368)
行森 茜 昭和大学, 歯学部, 助教 (60813748)
阪井 丘芳 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (90379082)
鯨岡 聡子 昭和大学, 歯学部, 助教 (90824673)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 唾液腺 / 幹細胞 / 細胞系譜 / 再生医療 / 腫瘍原性 / 幹細胞ヒエラルキー / Rainbowマウス |
研究実績の概要 |
本年度は、マルチカラー細胞追跡マウスを用いた解析を行った。Rosa26-CreERT2マウスとRosa26-rainbow マウスの交配により得られた妊娠16日のマウス腹腔内にタモキシフェンを投与した。出生後1日の仔マウスより顎下腺を摘出後、蛍光観察により同色クローンの分布を解析した。その結果、導管および腺房が個別に標識されていることが確認出来た。しかしながら、標識されていた細胞は殆どが単一細胞であることより、細胞系譜解析にはより長期の観察が必要と考えられた。そこで、同様の条件で標識した仔マウスを生後10日で解析した。摘出した唾液腺の蛍光観察では、同色の蛍光を発する隣接する細胞集団の存在が検出され、同一クローン由来の細胞系譜解析が可能である事が明らかとなった。次年度は、さらに長期観察により細胞の多分化能の評価を行う予定である。 加えて、上記解析と並行して胎生期マウス顎下腺をsingle cell RNA seq(scRNAseq)により解析した。すなわち、E17.5のC57BL/6マウス顎下腺より唾液腺組織を摘出し、コラゲナーゼおよびヒアルロニダーゼで処理し細胞を分散化した。分散化した細胞をFACSによりsingle cell sortingを行い96穴プレートに播種した。その後、RNAの抽出、cDNAの合成およびsequenceライブラリーの作製をGenNextRamDA-seqTM Single Cell Kit (TOYOBO) を用いて行い、イルミナ社製次世代シークエンサー(HiSeq2500)で解析した。さらに、tSNE解析を行い、胎生期マウス顎下腺が複数のクラスターに分離できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由として、まず、マルチカラー細胞追跡マウスを用いた解析が、胎生期マウス顎下腺幹細胞の多分化能の評価に応用可能である事が明らかとなった点がある。また、当初、Rosa26-CreERT2/rainbowマウスの解析では、タモキシフェン投与後の母マウスにより出生仔が全て喰殺されてしまい解析可能な仔マウスを得ることが出来なかった。しかしながら、タモキシフェン濃度を調整することにより母マウスによる良好な哺育が行われ、安定的に解析可能なマウスを得ることが可能となった点も挙げられる。 加えて、胎生期マウス顎下腺のsingle cell RNA seq(scRNAseq)による解析条件も決まり、当初の計画通り進んでいると考えられることから、全体としても概ね順調に進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
胎生期における唾液腺幹細胞は段階的に多分化能を消失していくことが推定されるので、マルチカラー細胞追跡マウスを用いて発生段階における唾液腺幹細胞の多分化能の変化を解析する。すなわち、妊娠マウスへのタモキシフェン投与により遺伝子組換えを誘導したE12.5およびE13.5のRosa26-CreERT2/rainbow胎仔マウス顎下腺幹細胞の多分化能を評価する。また、single cell RNA seq(scRNAseq)解析を用いて上記の細胞系譜解析結果を検証するとともに、胎生期唾液腺幹細胞の多分化能を制御する候補因子を同定する。
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