研究課題/領域番号 |
19H03830
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩山 智明 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (80757865)
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研究分担者 |
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60452447)
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90524984)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯根膜 / 運命決定 / trajectory / 細胞系譜 |
研究実績の概要 |
歯周組織の構成細胞のヒエラルキーを決定し、その制御因子を解明するために、A)ATAC-seq法によるマーカー遺伝子探索による歯根膜MSCの定義、B)歯根膜特異的Creマウスを用いた系譜解析による「歯根膜細胞」の定義、C)Trajectory解析による歯根膜中の細胞ヒエラルキーの決定、D)分化度を決定する転写因子の探索とCRISPR/Cas9による機能解析、の4つの研究方法を計画しており、本年度は以下のような成果を得た。 A)まずセメント芽細胞と骨芽細胞について、微量RNAを採取し、qRT-PCRにて既知のマーカー遺伝子の発現を検討した。RNAの分解が著しく、より多くの転写産物を検出するために、RNA増幅法について検討し、RamDA法にてRNAを増幅したところ、より多くの遺伝子発現が検討可能であった。 B)歯根膜特異的Creマウス(PLAP1-CreERT2)および蛍光レポーターマウス(PLAP1-GFP)の作製が完了した。組織学的な解析により、GFP陽性細胞はRNAscopeでmRNA発現を認める細胞と一致し、重要なことに、骨芽細胞・セメント芽細胞は標識しておらず、計画通りのマウスが作製できていることが確認された。 C)酵素法による歯根膜細胞の分取について条件検討を行ったが、総細胞数が少なく、死細胞の割合も多く、より効率よく単離できる条件の検討が必要である。 D)石灰化能の高い歯根膜細胞クローンと低い歯根膜細胞クローンを比較したRNA-seqにより見出した運命決定因子候補Zbp1について、ノックアウト細胞や強発現細胞株を作製し、機能解析を行った。Zbp1は歯根膜細胞の石灰化を亢進することが明らかとなった。 以上の成果を取りまとめ、国内外の学会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画通りに、ノックインマウスの作製が完了し、Zbp1遺伝子の機能についても解析が進んだ。酵素法による細胞の収量が低く、今後の検討課題である。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、上述の作製したマウスを細胞を用いた解析を進める。酵素法による細胞分取が進まない場合には、遊走法による細胞を継代せずに用いて、シングルセルRNA-seq解析を行う予定としている。
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