研究課題/領域番号 |
19H03831
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
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研究分担者 |
松下 治 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00209537)
平山 晴子 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 助教 (40635257)
山本 直史 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (50432662)
美間 健彦 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80596437)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯周組織再生 / コラーゲン結合FGF-2 / 水平性骨吸収 / 増殖因子 / ドラッグデリバリーシステム |
研究実績の概要 |
本研究は,水平性骨吸収に対する歯周組織再生療法を実現するために,既に歯科臨床で応用されている塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)と細菌由来のコラーゲン結合ドメイン(CBD)を組み合わせた融合タンパク質(CBFGF)を用いた研究である。本研究の目的は,CBFGFの最適化とイヌを用いた実験モデルによる非臨床試験データの取得である。2019年度は,認可済みのbFGF製剤に合わせて,CBFGFを組換融合型から架橋型へ変更するための実験とイヌの骨欠損モデルを用いた実験を実施した。まず,CBFGFの最適化について,架橋反応の比率・濃度などの反応条件を決定するために,多量のbFGFとCBDを要した。そこで,大腸菌生産系を用いてbFGFとCBDを精製し,実験効率の改善を図った。現在は,CBDとbFGFを架橋する適切な条件を探索しているところである。また,イヌを用いた実験モデルでは,歯周組織再生療法の適応症である垂直性骨欠損(2壁性)で組換融合型CBFGFの有効性を実証し,水平性骨欠損および垂直性骨欠損(1壁性)を作製して,組換融合型CBFGFを投与した。現在,動物へのタンパク質の投与は終了し,一部のサンプルはCT撮影まで行っている。 また,組換融合型CBFGFについてこれまでに得られたデータについては,研究発表(Takashiba S, International Academy of Periodontology, 2019;Nakamura S, et al, International Association of Dental Research, General Session & Exhibition, 2019;岡本ら,日本歯科保存学会,2019;高柴,BioJapan 2019)を行って,今後の研究の進め方やCBFGFの製剤化に関して,様々な研究者や企業と情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
架橋型CBFGFの作製について,bFGFとCBDの反応比率,温度条件,そして適切な溶媒の選択など化学架橋の反応条件の設定に多くの時間を要しており,想定よりも進捗が遅れている。イヌの骨欠損モデルの作製については,従来の歯周組織再生療法の適応症である2壁性骨欠損において,組換融合型CBFGFの有効性が実証できた。そして,本研究の目的である重度の歯槽骨吸収に対する応用として,下顎に根分岐部の骨欠損を,上顎に水平性の骨欠損の作製を予定していた。上顎は予定通り実施したが,下顎はイヌを用いた他の研究デザインを参考に,定量が容易で評価の行いやすい1壁性骨欠損モデルへ変更して実施した。概ね予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
CBFGF作製法の最適化については,研究分担者と連携して,架橋剤の選択やbFGFとCBDの反応比率などの架橋反応条件を決定する。反応条件の決定に苦労する場合は,今年度参加した学会やパートナリングイベントにおいて情報交換を行った専門性の高い研究者と連携を図りながら実施する。作製した架橋型CBFGFは,コラーゲン結合活性と細胞増殖活性を評価し,ラットの水平性骨欠損モデルを用いてその有効性を評価する予定である。一方で,イヌを用いた実験は概ね予定通りに進行しており,設定した期間の経過後に,CT撮影と組織標本作製を行い,歯周組織再生量の解析を行う予定である。その結果に基づいてGLP基準での非臨床試験へ向けて準備を進めていく。実験結果については,国内外の学会発表や国際誌への発表を予定している。
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