研究課題/領域番号 |
19H03832
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和田 尚久 九州大学, 歯学研究院, 教授 (60380466)
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研究分担者 |
前田 英史 九州大学, 歯学研究院, 教授 (10284514)
友清 淳 九州大学, 大学病院, 講師 (20507777)
祐田 明香 九州大学, 大学病院, 助教 (20814081)
藤井 慎介 九州大学, 歯学研究院, 講師 (60452786)
御手洗 裕美 九州大学, 大学病院, 助教 (60801660)
和田 裕子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70380706)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯胚 / 歯根膜 / 歯小嚢 |
研究実績の概要 |
歯胚発生期に着目してオミックス解析により歯根膜発生・形成に重要な特異的因子を同定、機能解析することで歯根膜発生機構の一端を解明し、さらに歯根膜発生・形成に重要な同定因子を幹細胞分化制御候補因子として歯根膜細胞への分化誘導能について検討することを目的として研究をさらに進めた。 これまでに、マウス胎生18日齢の臼歯歯胚より、歯胚上皮組織、歯乳頭組織、歯小嚢組織を分離し、微量RNA-seqによる発現遺伝子の網羅的解析の結果、歯小嚢組織に高発現していた複数の因子を抽出し、各因子の発現パターンの解析および機能解析を進めた。Tmem100 は免疫組織化学染色にてE18.5歯小嚢に強い発現が認められたが、生後マウスの歯根膜には発現が弱く、象牙芽細胞、骨の辺縁に発現を強く認められた。また、E18.5歯小嚢細胞およびヒト歯根膜幹細胞株2-23において発現を確認した。2-23ならびにE18.5歯小嚢細胞を石灰化誘導培地で培養すると、Tmem100の発現が有意に上昇した。TGM2 は免疫組織化学染色にてE18.5歯小嚢に強い発現が認められ、ヒト歯根膜幹細胞株2-23の細胞質部分に発現を認めた。2-23細胞にTGM2 siRNAを導入し、WST-1 assayを行うと、TGM2 KDした細胞において細胞増殖能が有意に減少した。また、Acta2の解析を進めたところ、ヒト歯根膜幹細胞株2-23および初代ヒト歯根膜細胞において発現を確認した。歯根膜細胞においてTGF-beta刺激により1型コラーゲン、ペリオスチンおよびフィブリリンの発現が上昇したが、Acta2 siRNA により、その発現が抑制された。これらの結果から、各因子が歯の形態形成および歯根膜組織の維持に重要な役割を担っていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3因子について、予定していた発現パターンの解析と機能解析の結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はGO解析により歯根膜形成に重要な候補因子として関連する転写因子を抽出して、機能解析を継続する。また、マウス臼歯歯胚発生期組織切片を用いて経時的に免疫組織学的に検討する。さらにマウス歯根形成期歯胚歯胚器官培養法を用いた機能解析を行う予定である。 本研究の結果により歯根膜発生・形成に重要な特異的因子を同定し、歯根膜発生機構の一端を明らかにすることができると予測される。
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