研究課題/領域番号 |
19H03835
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小笠原 康悦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30323603)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 金属 |
研究実績の概要 |
歯は自己再生能力がないため、欠損部分は保存修復治療や補綴治療になる場合が多い。その場合、金属やレジンなどの生体材料を用いて治療がなされ、患者のQOLを高めてきた。しかしその一方で、金属炎症やアレルギーなどの副作用も報告されており、金属アレルギーは解決すべき重要な研究課題である。本研究は、申請者らが開発したT細胞受容体解析技術を用いて、金属反応性T細胞受容体を特定して新規診断・治療法の開発基盤を構築することを目的としている。この目的を達するため、2019年度は、金属特異的T細胞受容体の遺伝子を導入した遺伝子改変マウスを作成し、反応を確認した。金属特異的T細胞受容体遺伝子導入マウスは、野生型マウスに比べ、アレルギー症状が増悪することが確認できた。また、この遺伝子改変マウスからリンパ球を採取して、申請者らが開発したT細胞受容体解析を行った。その結果、T細胞受容体のβ鎖に偏りがみられ、金属特異的T細胞受容体である可能性が高いと推測された。2020年度は、遺伝子導入細胞を用いて、この候補T細胞受容体の特定を試みる。具体的には、まず、T細胞受容体のβ鎖のライブラリーを遺伝子導入して、その反応性を検討する。次に、反応のある細胞集団について、エクスプレッションクローニングを行うため、フローサイトメトリーにより細胞集団の濃縮を行う。その後、限界希釈法を用いるなどして反応性T細胞を単離する。以上のような方法を用いて、積極的にT細胞受容体β鎖の特定を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、金属特異的T細胞受容体の遺伝子を導入した遺伝子改変マウスを作成し、反応を確認した。金属特異的T細胞受容体遺伝子導入マウスは、野生型マウスに比べ、アレルギー症状が増悪することが確認できた。また、この遺伝子改変マウスからリンパ球を採取して、申請者らが開発したT細胞受容体解析を行った。その結果、T細胞受容体のβ鎖の候補を見つけることができた。現在、詳細な検討を進めており、ヘテロダイマーであるT細胞受容体の解明につながると期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、T細胞受容体β鎖を特定して、ヘテロダイマーであるT細胞受容体を特定する。具体的には、T細胞受容体遺伝子導入マウスと同じα鎖を導入した遺伝子細胞株を樹立し、その細胞株にβ鎖の遺伝子ライブラリーを遺伝子導入する。金属溶液で刺激したマウス樹状細胞と共培養した後、フローサイトメトリーにて、細胞活性化マーカーを検出、陽性細胞を濃縮した後、限界希釈法などにより、反応性細胞を単離する。この細胞集団からRNA抽出する。このRNAから、申請者らが開発したT細胞受容体解析技術を用いて、T細胞受容体β鎖を特定する。
|