研究実績の概要 |
近年オルガノジェネシス研究が盛んとなり、様々なオルガノイド形成が報告されている。細胞を基に作製するオルガノイドはその組織発生過程を検討するツールとして有効であるのみならず、再生医療への新しい材料として応用 性が高い。一方でオルガノイド技術の応用にあたり、解決すべき問題が多く残っている。問題の1つは「時間の制御」であり、もう一つの問題は「生成物の物性制御」である。 本年は、この骨成長制御ならびに軟骨吸収制御における分子メカニズム、特に機械的刺激に応答する分子シグナルの理解を進めた。特に、部位特異的に前後部では石灰化促進を、また、中部では軟骨吸収を示すメッケル軟骨に着目し検討を進めた。この結果、インテグリンβ1に関連したYAPの発現、また、これらに関連したMMP-1,13の発現変化を明らかにした。 また、本年はこれまでに確認したフナ肋骨の有する層状構造物を再現するため有機無機複合体作製について検討した。無機リン酸カルシウムと結合剤として異なる濃度のゼラチン、その架橋物質を応用することで、新たな有機/無機複合体を作製し、異なる条件での無機/有機複合体の物性を評価した。その結果、ゼラチン濃度10wt%以上で、無機リン酸カルシウムの層状間が完全にゼラチンで充満され、その濃度を変えることで強度の制御(0-20 MPa)に成功した。さらにグルタールアルデヒドの架橋を実践すること少量のゼラチンで高い機械的強度(約40 MPa)の層状人工骨作製に成功した。
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