研究課題/領域番号 |
19H03838
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
田中 準一 昭和大学, 歯学部, 講師 (40710166)
|
研究分担者 |
安原 理佳 昭和大学, 歯学部, 講師 (20453649)
大庭 伸介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (20466733)
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
辻 孝 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (50339131)
馬渕 洋 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50424172)
行森 茜 昭和大学, 歯学部, 助教 (60813748)
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70201465)
鯨岡 聡子 昭和大学, 歯学部, 助教 (90824673)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 唾液腺 / オルガノイド / ヒトiPS細胞 / 同所移植 / 分化誘導 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に検討したヒトiPS細胞由来唾液腺オルガノイドの誘導法を用いて分化誘導した唾液腺オルガノイドの評価を行った。RNA-seqの結果、誘導した唾液腺オルガノイドは未分化iPS細胞と比較して唾液腺の各種マーカーを発現し、他の分枝構造をもつ臓器の特異的因子については発現が認められなかった。またムスカリン受容体についてはM3優位の唾液腺様発現パターンを示した。in vitroにおける機能評価としてCa release assayを行ったところ、カルバコールの添加によって濃度依存的な細胞内Ca濃度の上昇がみられ、さらにこの反応はアトロピンによりブロックされたことからムスカリン受容体依存的に細胞内Ca濃度の上昇が起きることが示された。さらに唾液腺への分化メカニズムの解析として昨年度樹立したCRISPR-iを用いた薬剤誘導性遺伝子発現抑制株を用いた解析を行った。分化誘導中のドキシサイクリン添加によってSOX9の発現を抑制すると、野生型iPS細胞でみられる分枝構造の発生が抑制され、SOX9の発現がヒト唾液腺発生においても重要である可能性が示された。またオルガノイドの免疫不全マウスへの同所移植実験を行ったところ、ヒト唾液腺オルガノイドとマウス胎生期唾液腺間葉組織の同時移植を行うことで、宿主マウスの排泄導管と接続する形で成熟したヒトiPS細胞由来唾液腺組織を生着させることが可能であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で本年度に予定されていた、唾液腺オルガノイドの組織学的解析、および網羅的な遺伝子発現解析は遂行することができた。これらの研究結果は唾液腺への分化を示す結果であったため、現在は最終年度に予定されていた移植実験にも既に取り組んでいる。以上の理由より本研究は概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究、唾液腺オルガノイドの移植実験の評価を行い、機能的な唾液腺が移植により再生されているか否かについて解析を加える。また分化誘導した唾液腺オルガノイドの評価としてシングルセルRNA-seqデータを取得し、その細胞系譜についても解析を加える。以上のデータが研究期間内に取得できた場合は、この唾液腺オルガノイドを用いて唾液腺疾患モデルの開発についても検討を行う予定である。
|