研究課題/領域番号 |
19H03839
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (20210627)
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研究分担者 |
赤坂 司 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (00360917)
山本 悟 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10344524)
平田 恵理 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10722019)
高野 勇太 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (60580115)
岡崎 俊也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 副研究センター長 (90314054)
湯田坂 雅子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 招聘研究員 (70159226)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | カーボンナノ物質 / インテリジェント化 / 薬剤徐放 / カーボンナノホーン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、カーボンナノ物質(CNMs)に薬剤や成長因子を担持させ徐放を制御する方法を確立し、CNMsのインテリジェント化を図ることによりインテリジェントカーボンナノマテリアルを創製し(i-CNMs)、i-CNMsとデンタルインプラントやGBR膜からなる革新的口腔領域用生体材料を開発することである。 本年度は、2種類のカーボンナノホーン(未酸化型:as-CNH、酸化型:CNHox550)を、ミノサイクリン(MC)を分散媒として水溶液中に分散させることに成功した。吸収スペクトル、熱重量分析および理論計算により、これらの分散液中ではMCがCNHに付着していることが示された。これらのMC/as-CNH複合体の抗菌活性をStreptcoccus mutans及びAggregatibacter actinomycetemcomitansを用いて調べたところ、MC/as-CNH複合体はMCと同等の細菌増殖抑制活性を維持していることが明らかとなった。透過型電子顕微鏡観察により、MC/as-CNH複合体は細菌と直接接触していることが示された。以上の結果から、MC/as-CNH複合体はインテリジェントカーボンナノマテリアル(i-CNMs)への応用の可能性が示唆された。さらに、ミノサイクリンのように医薬品の中には、内在性の薬効を発揮するとともに、カーボンナノ材料の分散を促進する機能を持つものがあることを明らかにした。 CNH、単層カーボンナノチューブ(SCNT)等のCNMsに関する生体反応の相違についても現在検索を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、CNMsに薬剤や成長因子を担持させ徐放を制御する方法を確立し、CNMsのインテリジェント化を図るためにCNHsとMCを用いて研究を行った。CNHsの酸化によってMCの付着状態が変化することや、MC/as-CNH複合体はMCと同等の細菌増殖抑制活性を維持していることが明らかになった。この特徴を用いてインテリジェントカーボンナノマテリアル(i-CNMs)への応用が可能である。本研究成果はCARBONに掲載が決定した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、担持した薬剤や成長因子の徐放制御を行う。CNHsは近赤外光の照射により発熱し、構造が変化することが報告されている。この現象を徐放制御に応用する。MC/CNHsに近赤外光を照射することによって、薬剤の除放量や静菌作用、殺菌作用について確認する。また、成長因子(BMP,FGFなど)を担持させて同様に徐放性を確認し、骨芽細胞の分化や増殖への効果を評価する。i-CNMsへの応用については、インプラント周囲炎治療のための一時的な使用を目的として、MC/CNHsを泳動電着したアバットメントを開発する 。
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