研究課題/領域番号 |
19H03842
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大野 充昭 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (60613156)
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研究分担者 |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00225195)
宝田 剛志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30377428)
ハラ エミリオ・サトシ 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 研究准教授 (40779443)
渡辺 亮 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (60506765)
秋山 謙太郎 岡山大学, 大学病院, 講師 (70423291)
淺田 騰 岡山大学, 大学病院, 助教 (70803055)
枝松 緑 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10735343) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | BMP-2 / 骨形成 / 骨吸収 / 骨髄 |
研究実績の概要 |
BMP-2は,有効な骨再生療法を提供するとして大変期待されている。一方,我々は,骨髄腔内にBMP-2を投与すると逆に,骨形成が抑制され,骨髄腔が拡大するという大変興味深い知見を得た。本申請研究では,骨髄細胞のシングルセル解析にて,BMP-2投与による骨形成抑制・骨髄腔拡大に関わっている細胞を抽出し,これら候補細胞が,BMP-2投与下で骨髄ニッチや骨髄腔の維持にどの様にして関わっているのかを解析する。そして,上記の解析より,骨髄ニッチや骨髄腔の維持に関わりが深い細胞や分子を抽出し,その欠損マウスを用いてBMP-2にて骨形成が誘導可能か検証し,骨髄腔の維持に関わる細胞やその分子を同定する予定である。昨年度は,間葉系幹細胞が可視化されたCXCL12-GFPマウス,骨芽細胞が可視化されたCol1a1-GFPマウス,破骨細胞が可視化されたTrap-Tomatoマウスを用いて,BMP-2の骨髄内投与によりこれらの細胞がどのような挙動を取るか,詳細に検討した。また,BMP-2の骨髄内に投与による骨髄細胞分画の変化をフローサイトメーターにて詳細に検討し,single cell RNA-seq解析の条件検討を行ってきた。今年度は,BMP-2が過度な炎症を誘導することが知られていることから,骨髄内に移植したBMP-2が過度な炎症を誘導するため,骨髄内では骨形成が抑制されるのではないかと考え,炎症反応が生じにくい様々な免疫不全マウスを用いて実験を行った。その結果,免疫不全の程度によって通常の骨の創傷治癒が抑制されることが明らかとなった。しかし,BMP-2による骨形成抑制能効果は,どの免疫不全マウスにおいても抑制されなかった。さらに今年度は,BMP-2によって誘導される異所骨と骨髄細胞の細胞分画を正確に把握するため,single cell RNA-seq解析を実施した。その結果,BMP-2誘導性異所性骨と骨髄は類似した細胞分画であることが明らかとなった。現在,詳細な解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在,骨髄内におけるBMP-2の骨吸収メカニズムを明らかにするため,BMP-2誘導性異所性骨の解析を進め,大変興味深い結果を得ており,そのメカニズムの一端を明らかにしつつあり,おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に実施したBMP-2誘導性異所性骨と大腿骨骨髄のsingle cell RNA-seqデータを詳細に解析し,どの因子がBMP-2誘導性骨形成を抑制しているのか明らかにする予定である。
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