研究課題/領域番号 |
19H03843
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鮎川 保則 九州大学, 歯学研究院, 教授 (50304697)
|
研究分担者 |
熱田 生 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (30423487)
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究院, 特別教員 (50195872)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | Stem cell aging / 歯科インプラント |
研究実績の概要 |
「加齢関連口腔領域疾患にはSCAが影響している」、「SCAを制御することが加齢関連口腔領域疾患の制御につながる」という仮説を検証することを目的として,本年度は健全マウスの間葉系幹細胞(MSC)と薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)発症マウスのMSCを培養し,各種遺伝子発現の変化の検討を行った.その結果,まだ十分なサンプル数が得られていないものの,MRONJ発症マウスで低下していた一部のタンパク質の発現が,健全マウスMSCと共培養することによって回復する傾向が見られた. 次に,コラーゲンは口腔領域における重要なnicheであるため,病態動物と健全動物の骨のコラーゲンの架橋構造の相違を検討した.まず,健全マウスとMRONJ発症マウスからコラーゲンを産生する細胞である線維芽細胞および骨芽細胞を単離し,培養下で産生されたタイプIコラーゲン線維の観察を行った.その結果,MRONJ発症マウスから得られたタイプIコラーゲン線維は架橋構造が健全マウスのものより劣化している傾向が見られた.この結果は骨芽細胞,線維芽細胞両方で同様の傾向であった.現在,上に記載した,「健全マウスMSCと共培養したMRONJマウスMSC」から線維芽細胞、骨芽細胞を分化させ,I型コラーゲンを産生させて架橋が正常になるかを検討中である。 また,MRONJ発症ラット脛骨にチタンインプラントを埋入するモデルの作製を行った.MRONJはゾレドロン酸とデキサメタゾンの併用投与によって発症させ(抜歯窩MRONJ発症モデルは過去に樹立済みであり,同じ薬剤投与量および方法で行った)たが,ラット脛骨に埋入したインプラントの周囲骨では骨壊死が発症しなかったため,実験モデルの再検討を行っている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度予定していたことのすべてが実施できなかった.これは,当初想定していたモデルの構築がうまくいかなかったためであるが,対処方法も検討しているため,翌年度にキャッチアップ可能と考えている.また,COVID-19の影響で研究者,大学院生の活動に制限があったことも原因である.
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に合わせて,それに先だって今年度実施できなかった内容を実施することにより十分に研究計画を達成することが可能と考えている.
|