研究課題/領域番号 |
19H03850
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
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研究分担者 |
田沼 順一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20305139)
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
岸本 直隆 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50610911)
武内 恒成 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90206946)
紙谷 義孝 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90381491)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脱分化脂肪細胞 / 末梢神経損傷 / 細胞抽出物 / 神経再生 |
研究実績の概要 |
脂肪組織由来幹細胞の抽出物を培地に添加し、神経の細胞株であるPC12D細胞の突起身長に対する影響を調査した。また、抽出物中の有効成分を明らかにするために、抽出物に熱処理(95℃、60分)やプロテイナーゼK処理(0.1mico g/micro L)を行い、抽出物の総タンパク濃度が低下していることを確認したのち、PC12D細胞への有効性を評価した。その結果、脂肪組織由来幹細胞由来の抽出物は、PC12D細胞の突起伸長を促進させ、その効果は蛋白の不活性化により突起伸長を促進しなかったことから、抽出物中のタンパク成分がPC12D細胞に対して有効に作用している可能性がある。 一方、この抽出物をin vivoで下歯槽神経切断端に投与して免疫染色による観察を行った。マクロファージのマーカーであるIba 1を用いて、マクロファージの局在を評価した。移植後3日目で、CEの移植により、多くのマクロファージが切断部近位に遊走していた。また切断側である左側オトガイ部への機械的刺激に応じた頭部逃避閾値の経時変化では、 Vehicle群、CE群ともに移植後1日目において、神経切断手術前と比較して閾値は有意に上昇し (two-way ANOVA, p < 0.05) 、最大値を示した。その後、Vehicle群では、閾値が低下し続け、7日目で最低値となり、14日目でも変化が認められなかった。一方、CE群では、3日目まではVehicle群と同様に閾値が低下したが、14日目でVehicle群と比較して、有意に閾値が高く(two-way ANOVA, P < 0.05) 、神経切断手術前のレベルになった(有意差なし)。 以上の結果より、脂肪組織由来幹細胞の抽出物は神経細胞の突起伸長の他にマクロファージの遊走促進効果により、末梢神経損傷後の機能回復に影響していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナパンデミックによる国内外への移動制限により、他施設への見学や打ち合わせが十分に出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪組織由来幹細胞からの抽出物の内容物の特定を行う。また脱分化脂肪細胞からの抽出物との違いを検討することにより、損傷神経回復に影響する物質を同定する。in vivoでは神経軸索の回復について、逆行性神経トレーサーを用いて検証を進める。
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