研究課題
われわれの既報に準じて、劣悪な環境を模倣した条件で幹細胞培養上清中細胞外小胞を調製し、その機能解析をした。細胞種は骨髄間葉系幹細胞、ヒト永久歯あるいは乳歯の歯髄由来幹細胞であり、培養条件は酸素分圧、栄養、pH、機械的ストレスなどについて設定した。培養密度80%時に無血清培地でさらに48時間培養して得た上清を濾過し、超遠心沈降法あるいは密度勾配遠心法により細胞外小胞を分離した。粒子径別に小胞の内容はタンパク質についてマススペクトロメトリーにて網羅的に解析して同定し、その機能面から種類を絞ってELISAで定量し、その遺伝子発現についてRNAを抽出しリアルタイムRT-PCRにて解析した。細胞外小胞の機能解析は、in vitroでは細胞増殖、遊走、管腔形成アッセイ、in vivoでは小動物の組織欠損あるいは臓器障害モデルで形成あるいは修復される組織の組織学的、X線学的、多重免疫組織化学的評価によりした。体内動態は蛍光標識した細胞外小胞をインビボイメージングシステムにより経時的に追跡し、組織再生の場に動員された細胞と関わる様相を可視化した。その結果、骨髄間葉系幹細胞、ヒト永久歯あるいは乳歯歯髄由来幹細胞培養上清中細胞外小胞あるいはその含有因子による効果として、化学療法による毛根障害モデルや放射線療法による唾液腺障害モデルではそれぞれ細胞保護作用により脱毛や口腔乾燥症を防ぐこと、骨粗鬆症や大腿骨頭壊死モデルでは幹細胞の老化が抑制されその脆弱性が減少すること、骨関節炎モデル実験ではsFRP1発現M2マクロファージが誘導され炎症が軽減すること、骨延長モデルではHMGB1により内因性の幹細胞/前駆細胞が誘導され骨形成が促進されることなどが示された。幹細胞培養上清中細胞外小胞およびその含有因子はさまざまな疾患に対する治療法開発において有望である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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