口腔扁平上皮癌(OSCC)の特異的なバイオマーカーや標的分子は同定されていない。申請者らは、本邦で初めてのOSCCの大規模体細胞変異解析を行い、NOTCH1およびFATファミリー1を中心に発がん候補遺伝子の変異を発表した(BBRC 2014など)。さらに、OSCC患者より発見した複数の変異型NOTCH1発現細胞を樹立し、野生型では腫瘍化に、まず1種の変異型では腫瘍抑制に機能することを報告した(Oncol Rep 2017)。固形腫瘍でのNOTCH経路は腫瘍化・腫瘍抑制化双方の報告があるが、申請者は現在のところ腫瘍化因子と捉え、NOTCHはOSCCの標的因子となり得ると考えている。 生体レベルでのNOTCHの腫瘍原性を明らかにすることを目的とし、患者腫瘍移植マウス(PDX)モデルの樹立を行う。移植する臨床標本に対する網羅解析をまず行い、遺伝学的なプロファイルを解明する。これにより、遺伝学的プロファイルが明らかとなった腫瘍のPDXモデルを樹立することができ、生体再現性の高いtranslational researchを行うことが出来る。次に、樹立したPDXモデルを用いて、NOTCHを中心としたin vivoでの機能解析を行う。最終的には、OSCC新規治療法開発を目指している。
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