研究課題/領域番号 |
19H03856
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
本田 一文 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 部門長 (10260936)
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研究分担者 |
吉本 世一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (00462242)
本間 義崇 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (30719943)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 口腔がん / 免疫チェックポイント阻害薬 / 抹消循環腫瘍細胞(CTCs) / 抹消循環腫瘍DNA(ctDNA) |
研究実績の概要 |
近年、がんに対する精密医療への期待が高まっており、ゲノム医療を基盤とした適時・適格医療が社会実装されてきている。ゲノム医療の主体は腫瘍細胞が持つ個性を見分けるための次世代シーケンサーを利用した網羅的遺伝子変異解析であるが、腫瘍病巣から取得されたゲノム変異の解析を必要とするため手術検体で実施されることが多い。頻回な検査に耐えうる非侵襲的な方法で採取できる血液をはじめとした体液検査が注目を集めている。原発巣や転移巣の個性を最も色濃く保持していると考えられているものは腫瘍細) 胞そのものである。にもかかわらず、抹消循環腫瘍細胞(circulating tumor cells, CTCsに対する検査法の開発はほとんど進んではいない。CTCsを1細胞毎で、生理的条件下における生体の機能を解析する技術開発がなされれば、転移・再発に対する創薬やバイオマーカー診断、的確な化学療法の選択などに幅広い効果を発揮するはずである。われわれは、微小流路回路を用いてCTCsを揚力と遠心力でふるい分け濃縮する技術と質量分析を組み合わせることで、CTC1細胞の細胞質内代謝物を一斉分析する方法に世界で初めて成功した。加えて、口腔がん、消化器がん(食道がん、胃がん、大腸がん)患者から前向きに採取したCTCsと抹消循環腫瘍DNA(ctDNA)の次世代シーケンス解析を実施したところ、CTCsとctDNAの遺伝子変異プロファイルをマージすることで、特異度を減少させることなく感度を上昇させることを明らかにしてきた。これら手法を用いて、口腔がんで抗体医薬品であるニボルマブ、セツキシマブで実際に治療された患者から前向きに、CTCsとctDNAを採取した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書の通り、口腔がん治療のためEGFRまたはPD1に対する抗体医薬品であるセツキシマブ、ニボルマブを投与した患者12冷夏から投与前、投与後、PD時でCTCsとctDNAを採取し、次世代シーケンスを実施できるよう51サンプルを用意した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に、CTCsは次世代シーケンス50遺伝子変異パネル、ctDNAは500遺伝子変異パネルを施行し、免疫チェックポイント阻害薬やEGFR抗体医薬品の奏功性を予測する遺伝子変異プロファイルを抽出する予定である。診断制度の向上を目的に、CTCsおよびctDNAの前向き収集は継続して実施している。また、リキッドバイオプシー検体を用いた次世代シーケンスによる遺伝子変異プロファイルのみならず、血液検体を用いたプロテオーム研究を実施できるようすべての検体の血漿検体を収集している。今後は抗体基盤プロテオミクス解析を実施することで、タンパク質発現プロファイルについても検討する。
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