研究課題/領域番号 |
19H03857
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
森山 啓司 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20262206)
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研究分担者 |
小川 卓也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (50401360)
東堀 紀尚 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (50585221)
宮本 順 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (10451949)
小林 起穂 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20596233)
上園 将慶 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (80737346)
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
田中 敏博 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (50292850)
佐藤 嘉伸 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70243219)
中島 義和 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40343256)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 顎変形症 / 左右非対称 / 階層的スペクトルクラスタリング / 多元計算解剖学 / SNPs |
研究実績の概要 |
頭蓋顎顔面骨格の左右非対称は、遺伝的要因と口腔機能や生活習慣等後天的要因による制御機構のバランスが破綻することによって生じるが、その詳細な成立機構は不明である。本申請は顎顔面領域の左右非対称を呈する顎変形症をターゲットとし、多元計算解剖学解析に基づいた頭蓋顎顔面形態とヒトゲノム解析から得られる遺伝情報を融合し、顎顔面非対称病態理解多元化モデルを構築・解析することを目的とした。2020年度の研究実績の概要を以下に示す。 ①顔面非対称を伴う顎変形症患者の三次元的形態と顎運動等機能の関連性:顔面非対称を有さない顎変形症患者、およびコントロール群としての顔面非対称を有する顎変形症患者の三次元的形態解析・顎運動等機能解析を行い、継続的にデータを蓄積した。さらに、顎運動機能と頭蓋底形態の関連、特に頭蓋に対する下顎窩の位置に注目し、顔面非対称の機能と形態の統合解析を遂行した。 ②顔面非対称を伴う顎変形症患者における鼻形態変化に関する三次元解析:顔面非対称を伴う顎変形症患者における鼻形態変化に関する三次元解析の結果、顔面非対称患者における上下顎移動術を用いた外科的矯正治療によって、術後に鼻翼基底部傾斜の改善を認めたことより鼻形態の非対称性の改善に対する有用性が示唆された。また、鼻周囲軟組織がANSの移動様相に関与している可能性が示唆され、治療計画の立案に際し上顎骨の移動による鼻周囲軟組織への影響を考慮する必要性があると考えられた。 ③片側性形成不全を伴うCraniofacial microsomiaの臨床情報ならびにゲノムDNAの蓄積:共同研究先のブラジルサンパウロ大学から橈骨の片側性形成不全を伴うCraniofacial microsomiaの6家系の臨床情報ならびにゲノムDNAを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顔面非対称を伴う顎変形症患者の三次元的形態解析として、顔面非対称を有さない顎変形症患者、およびコントロール群としての顔面非対称を有する顎変形症患者のCT画像の収集、および同患者の顎運動測定を行った。そして、下顎窩の位置に着目した三次元的形態情報と、顎運動機能情報を統合した多元的解析を遂行した。また、顔面非対称を伴う患者に対し、患者満足度の高い矯正歯科治療を目指すために当分野にて矯正歯科治療中(顎変形症患者含む)を対象に、VASスケールを用いた機能・顔貌評価に関するアンケート調査を行っており、セファログラムやCT画像を用いた顎態分析と関連付けた評価を継続して行っている。また、重篤な顔面非対称を伴い顎矯正手術の必要な顎変形症患者において、長期安定性の得られる高度な診断・治療への基盤づくりとして、長期治療例の顎顔面形態の変化について初診時、手術前、手術直後、長期予後観察時の時点でのセファログラム分析を行って得られた結果について、術式の差による長期予後の違いを検討した研究において、論文化を目指している。さらに、遺伝要因の解明を目的として、片側性形成不全を伴うCraniofacial microsomiaの6家系の臨床情報ならびにゲノムDNAを取得した。
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今後の研究の推進方策 |
データ数を増やすため、顔面非対称を有す/有さない顎変形症患者のCT画像の収集、および同患者の顎運動測定を遂行し、それらのデータ解析を継続していく。得られた知見に関して、国際学会に発表する予定である。また、これまではセファロ分析や顔面写真等の二次元画像を用いた形態評価が主であったが、今後はCTやMRI画像、顎態模型や顎顔面軟組織の3Dスキャン画像など、三次元画像を用いた頭蓋顎顔面形態計測と機能評価(呼吸・顎運動・患者本人の満足度)等の関連付けに関して推進していく方針である。さらに、片側性形成不全を伴うCraniofacial microsomiaの6家系について、次世代シークエンサーを用いた網羅的な遺伝子解析を開始する。
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