研究課題/領域番号 |
19H03859
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
上岡 寛 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80253219)
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研究分担者 |
植田 紘貴 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10583445)
早野 暁 岡山大学, 大学病院, 講師 (20633712)
亀尾 佳貴 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (60611431)
原 徹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, ステーション長 (70238161)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨細管 / 生体ボリュームイメージ解析 / FIB-SEM / 流体シミュレーション |
研究実績の概要 |
2019年度に機械学習を用いた今後の生体ボリュームイメージ解析が可能となり、本年度は、本研究を進めることのボトルネックとなっていた輪郭抽出の時間を大幅に縮小できることが確認できた。この手法を用いて新たにNIMS(つくば市)で骨細管の生体ボリュームイメージ解析を行う予定であったが、コロナウイルス感染の影響で現地での移動が困難となり新しいデータを用いた各種条件設定を変えた研究が進められなかった。そのために、既存の生体ボリュームイメージデータを用いて、今後の研究に必要である骨細管内での流体剪断応力をシミュレートするコンピュータ上での実験を先行し、細管に体液が流れたときに骨細胞突起表面に与える変形量を測定した。この結果を研究分担者の亀尾先生(京都大学)と国際雑誌に投稿している。また、平行して行った骨細胞周囲のスクレロスチン蛋白の機械的刺激による分布の違いについて、検討をおこなった。これは流体剪断応力により骨細胞から産出された蛋白が骨に加えられた力により骨深部から表層へ移動することを示すこととなり、今後、我々が観察していく機械的刺激による骨細胞の活性化とともにその産生された蛋白の輸送の実態についても重要な意味をもつと考えられる。また、機械的刺激を受けた骨細胞が骨細管を介して、情報の伝達を行っていることに関しては、Springer社からの依頼を受けて、我々の方法をMethods Mol Biolに方法論として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多発域を介しての移動が困難となったことから、NIMS(つくば市)での解析が昨年度同様に進んでいない。そのために2021年度の研究の進展に関しては未定である。また、本年度は骨組織局所におけるナノインデンテーションの実験をオハイオ大学と行う予定であったが、これも実際に現地に赴いて実験をする必要があり、実施には到っていない。スウェーデンとの国際共同については、昨年度につづき現地での実験が行えずに骨内機械的刺激装置の制作において実施が困難な状態が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、共同研究が困難な地域、国とは、オンラインによる現地での実施が可能かどうかを検討している。まず、国内でのNIMSとの共同研究が現地に赴かなくてもできるか検討を進めている。海外との研究については、オハイオ大学との国際共同研究が難しい場合は、国内にある同様の機器を備えている研究施設を検討してみる。しかし、オハイオ大学では研究対象の組織が我々と同じ骨であるので、多くのノウハウをもっていることから、継続した方法を検討することが望ましいと考えている。スウェーデンとの国際共同は骨内機械的刺激装置の作成技術をもっているのは今回の共同研究グループだけであるので、現地に赴くことができなければ、いくつかのプロトタイプの作成を依頼してやり取りすることを検討しているが、どうしても現地での作成と異なり実施に時間がかかる。
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備考 |
科研費 研究成果トピックス No.156にこれまでの研究が紹介されている。
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