研究実績の概要 |
口腔の状態が機能障害の発症に及ぼす集団帰属リスクは依然として不明であり、我々は、様々な口腔状態(残存歯数、咀嚼困難、ドライマウス、窒息)が機能障害の発症に及ぼす影響を調査した。 方法 日本老年学的評価研究の65歳以上の参加者(n=44,083)を対象とした。アウトカム変数は入射機能障害とし、説明変数は4つの口腔状態を選択した。可能性のある交絡因子を共変量として含めた。Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)、95%信頼区間(CI)、および集団帰属分(PAF)を算出した。 結果 参加者のベースライン時の平均年齢は73.7歳(標準偏差=6.0)、53.2%が女性であった。合計8,091人(18.4%)が追跡期間中に機能障害を発症した。4つの口腔状態のうち、機能障害の発生率は咀嚼困難者(3.27/100人年)が最も高く、次いでドライマウス(3.20/100人年)、窒息(3.10/100人年)、残存歯数19本以下(2.89/100人年)であった。すべての共変量で調整した結果、咀嚼困難が最も機能障害のリスクが高く(HR=1.22、95%CI=1.16-1.28)、次いで残存歯数19本以下(HR=1.18、95%CI=1.12-1.25)、ドライマウス(HR=1.18、95%CI=1.12-1.24)、窒息(HR=1.10、95%CI=1.04-1.17)であった。PAFについては、残存歯数19本以下(12.0%)が最も多く、次いで咀嚼困難(7.2%)、ドライマウス(4.6%)、窒息(1.9%)であった。 結論 良好な口腔状態を維持することは、その後の人生における機能的障害のリスクを減少させる可能性がある。人口寄与率を考慮すると、歯の喪失は4つの口腔状態の中で最も大きな影響を与えた。
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