研究課題
これまでに開発してきた出血性潰瘍モデルを用いたレジデント医師に対するシミュレータ学習による教育効果を検討した教育介入研究の有効性がまとまり、世界最大の消化器関連学会である米国消化器病学会週間Digestive Disease Week 2021(DDW 2021)において5月に報告した。出血性潰瘍モデルをさらに改善した多層構造をもつより複雑な消化管粘膜モデルも、プロトタイプが出来上がり、通電実験を繰り返している状況である。こちらに関しては継続課題として今後も開発を続ける。一部予算の繰り越し申請をしたことにより、コロナ感染拡大に伴って延期をせざるを得なかった多層構造粘膜モデルのハンズオン実験を5月に2回行うことができた。そして、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い対面式のハンズオン学習が難しい状況が発生したことを踏まえて、指導者と学習者が離れた場所、具体的にはそれぞれの病院施設において同一のシミュレータモデルを用いることで、同じ設定で遠隔ハンズオンとして学習できる可能性を模索した。対象者数はまだ少ないものの、中継でつなぎながら内視鏡画面を共有し指導することで、対面式に近い学習効果を得られそうだというpreliminaryな結果を得られ、2021年7月に医学教育学会シンポジウムにおいて報告し、他領域のシミュレータ学習における遠隔ハンズオン学習との共通点や相違点についても議論することができた。このアプローチを進めてゆくことで、Withコロナ時代において一堂に会する旧型のハンズオンセミナーに対して、遠隔ハンズオンによる個別指導が一つの解決策として提案できると考えている。
3: やや遅れている
繰り越し申請に記載した通り、新型コロナ感染症拡大に伴い、実際の内視鏡を用いた実験を人の集まる形で行うことが難しくなり、当初に比して十分量のデータを集めて判定することに時間を要すると考えられる。
通信機器を用いた遠隔ハンズオンや素材メーカーを含めた打ち合わせのオンライン化など、リアルで会う機会を制限しつつも研究体制を可能な範囲で維持するように努める。一方で通信用機材や、2か所で同じ物品を準備しつつ行う実験のため、物品費用は当初よりもかかる可能性がある。
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