研究課題/領域番号 |
19H03872
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木澤 義之 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (80289181)
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研究分担者 |
山口 拓洋 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50313101)
森田 達也 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床教授 (70513000)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アドバンス・ケア・プランニング |
研究実績の概要 |
将来の意思決定能力の低下に備えて、患者がその家族や医療専門職と、医療やケアの目標や、価値観、具体的な治療、療養の場所等の希望について話し合うプロセスは、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)と呼ばれる。我が国においてもその重要性は認識されているものの、臨床におけるACPの実践には数々の障壁があることが報告されている。そこで本研究では、ハーバード大学で開発され、その効果が実証されているSICP(Serious Illness Care Program)に行動経済学的知見を加えてモディファイして用いる。 本年度は、進行がん患者を対象に、医師と看護師が協働してACP支援する「日本型ACP支援モデル」をつくりその実施性を評価した。具体的には、進行がん患者のACP支援に携わる京都大学医学部附属病院の医師及び看護師を対象に、「日本型ACP支援モデル」を用いたACP支援方法を教育し、研究対象者への介入の質を担保する方策について、研究協力者と検討を重ねた。また、研究計画に即した実施手順書を作成し、手順書に基づき臨床現場における本研究の実施可能性を再確認した。さらに、症例登録センターにおける症例登録手順について、登録責任者およびスタッフと協議しその内容を踏まえ、COVID-19感染拡大の状況に応じて、本研究の調査対象者の紹介を依頼する医療機関の診療科に所属する医師と密に連携し、調査対象者の登録を開始した。同時に、介入群に登録された調査対象者に精神機能障害が疑われる場合の対応手順について、研究分担医師及び研究分担看護師、精神医学の専門家を含む共同研究者等と検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受け、病棟や外来などの診療区域への研究者の立ち入りに制限が設けられたことで、研究計画の大幅な変更が必要となった。具体的には、感染予防策を講じた上で安全に臨床研究を遂行するため、研究分担医師、研究分担看護師、副看護部長、病棟師長、病棟副師長と共に研究計画書を精査し、変更を加えた。変更後の研究計画書が倫理審査委員会の審査を経て承認に至るまでに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、患者登録を行い、2022年までに合計60症例の登録を予定している。feasibility studyの結果、脱落例は想定(25%)より少なく、本研究が患者に有害・負担となる状況をもたらしているとは考えにくく、プロトコル改訂は不要と評価している。 本研究の実施に加えて、行動経済学の損失回避ナッジ(ACPをしておかないと家族の負担になる)が、患者のACPに対する意欲にどのような影響を与えるかについても別途RCTによって検証する予定である。研究デザインは、新型コロナウイルス感染症の影響を考え、Webを使ったものと刷る予定である。
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