研究課題/領域番号 |
19H03873
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚原 高広 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 客員共同研究員 (90328378)
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研究分担者 |
夏原 和美 東邦大学, 看護学部, 教授 (00345050)
後藤 励 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (10411836)
古澤 拓郎 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (50422457)
新本 万里子 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 外来研究員 (60634219)
田所 聖志 東洋大学, 社会学部, 教授 (80440204)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医療政策 / 医療経済学 / ユニバーサルヘルスカバレッジ / 医療人類学 / 医療サービス / パプアニューギニア |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延によりパプアニューギニアへの渡航ができず繰越を行った。しかし、2021年度も同様の理由で現地調査での情報収集ができなかった。そのため、この2年間は、2019年の予備調査で収集した情報に基づき、遠隔会議を開催することで研究を進めた。 田所、新本、塚原の3名で定期的に遠隔で人類学分野の研究会を開催した。国際保健学(グローバルヘルス)は、世界のすべての人々の健康の改善と不公平な健康格差の是正を目標とし、そのような格差を生じた原因の解明と格差を解消するための介入法を開発する学問領域と定義される。文化人類学者のグローバルヘルスへの関わりの歴史および国際保健政策の歴史的変遷について国内外の文献研究を行い、文化の背景を考慮した村落保健プログラムの設計に必要な事項について議論を行った。2019年に予備調査を行った調査地は、マーガレット・ミードの『三つの未開社会における性と気質』で知られているアラペシュの人々のうち、「沿岸アラペシュ」に属する。2019年の予備調査では、半構造化調査とインタビュー調査により住民の病気観および出産にまつわる情報を収集した。これまで、施設分娩の障壁と考えられてきた伝統的な慣習や家族・親族間の関係性よりも、医療施設までのアクセスの困難さが施設分娩利用を阻む主要因となることが示唆された。 また、夏原、吉井、塚原の3名で定期的に遠隔での医学分野の研究会を開催し、2019年の予備調査で収集した離乳期小児の食事に関する情報を分析した。全体的なエネルギー、糖質、タンパク質の摂取量不足が示唆され、発育阻害や貧血の原因となっていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予期していなかった新型コロナウイルス感染症のパンデミックのため、2020年1月以降、海外調査が実施できない状況が続いている。そのため、先行研究の収集、本研究以前に収集したデータの分析、2019年度に行った人類学調査、医学調査で得られたデータの分析を行い、成果を報告することに努めた。調査による新たな情報収集ができないため、本研究の柱である学際的融合研究に到達していない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、医学・人類学の手法を用いて収集した情報を融合し、経済学的分析により成果を創り出す学際的研究である。長期海外調査の実施が可能となる状況を待ちながら、経済学研究の準備を進めていく。今後、医学調査では、非感染性疾患に焦点を当てて情報収集を行い、利用者および医療従事者が求めている医療サービスの種類を絞り込む。人類学調査では、追加調査を実施することで利用者および医療従事者が求めている医療サービスの質を「概念」化することを目指す。
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