研究実績の概要 |
2020年度は、外来において治療中である喘息と慢性閉塞性肺疾患を対象として、ケアの継続性と入院リスクとの関連について解析を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行により、研究対象者の受療行動が大きく変化している可能性について検討する必要があると考えられた。 そこで、本年度は、福岡県内の市町村国保・後期高齢者医療制度に加入している2019年1月時点で65歳以上の高齢者のうち、2019年1月~2020年9月の喘息(ICD10 codes:J45)と慢性閉塞性肺疾患(J41, J43-J44)のレセプト件数の推移について検討した。 喘息患者の外来レセプト件数は、2019年4月診療分:81,824件、5月診療分:79,198件に対し、2020年4月診療分:75,523件、5月診療分:68,836件と大幅に減少していた。更に6月以降も前年同月より10,000件程度少ない72,000件前後で推移していた。同様に、入院レセプト件数も2019年4月診療分:3,043件、5月診療分:3,064件に対し、2020年4月診療分:2,576件、5月診療分:2,466件と減少し、前年同月より500件程度少ない2,500件前後で推移していた。 慢性閉塞性肺疾患患者の外来レセプト件数は、4-5月にわずかに減少していたが、6月以降は前年同月とほぼ変わらない28,000件前後で推移していた。入院レセプト件数についても、わずかながら減少が見られ、6月以降も前年同月より200件程度少ない2,100件前後で推移していた。 喘息患者の外来・入院レセプトの大幅な減少については、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、その他の感染症の発生が減少していることから、喘息発作を引き起こす感染症の減少の影響であると考えられた。
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