研究課題
本研究の目的は、生体内金属、微量元素と神経発達症との関連を、出生コホート研究、症例対照研究という2つの研究手法により明らかにすることである。前者は、神経発達症患者を症例群、神経発達症患者の兄弟姉妹を対照群とした症例対照研究であり、両者の毛髪中金属、微量元素の比較を行うものである。後者は、子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)において、研究代表者が甲信サブユニットセンター長として、平成31年度から開始した当該地域の学童期のエコチル調査参加者を対象とした調査研究(8歳学童期調査)である。エコチル調査では、コンピュータを使った精神神経発達検査を実施することから、エコチル調査に併せ、当該センターでは、独自に毛髪中の金属、微量元素を測定した。コンピュータを使った精神神経発達検査結果の利用は、エコチル調査においてデータ固定完了後に利用できるため、現時点では、当該調査に際し独自に実施した、高機能自閉症スペクトラム・スクリーニング質問紙(ASSQ)から得られたスコアを用いて、横断的な解析を試みた。症例対照研究は、コロナ禍での患者受診が圧倒的に減少したため、当初の目標数が困難であり、下方修正し目標数50例を目途にリクルートを継続した。一方で、神経発達障害の児は、毛髪を含む身体への接触を嫌い、毛髪試料採取が困難で、症例群18例・対照群5例(達成度46%)にとどまったが、得られた検体で、症例群と対照群における毛髪中金属・微量元素濃度を比較した。本研究により、当該地域における8歳学童期調査参加者の毛髪中の金属・微量元素濃度が明らかになり、本研究結果をベースラインとし、8歳を起点としたコホート調査の基盤が確立した。今後、8歳以降のコホート研究を進めていくとともに、コンピュータを使った精神神経発達検査の結果を用いて、生体内金属、微量元素と神経発達症との関連を解明していく。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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