研究課題/領域番号 |
19H03886
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 純子 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (70155266)
|
研究分担者 |
大久 真幸 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (20727250)
杉山 文 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (50778280)
秋田 智之 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (80609925)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / NASH / NAFLD / 大規模コホート研究 / 血清疫学研究 / 数理疫学的モデル |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)は食生活の変化、肥満人口の増加を背景に増加し、世界的な公衆衛生上の問題となっている。本研究は大規模健診データの解析により、NAFLDの疫学的実態およびその自然史を解明することを目的としている。4年計画の2年目である本年度は、1年目に作成した統合データベースからエコー検査受診者(実75,670人、2008-2019年)を抽出し、飲酒量3群別に脂肪肝有病率・罹患率を算出した。その結果、非飲酒者、中量飲酒者、多量飲酒者別脂肪肝有病率はそれぞれ、27.6%、28.5%、28.0%であった。脂肪肝罹患率については、非飲酒者3,084/10万人年、中量飲酒者3,754/10万人年、多量飲酒者3,861/10万人年であった。多変量解析の結果、飲酒は脂肪肝有病・罹患頻度に有意に関連せず、肥満がもっとも強く関連する独立因子であることが示された。近年飲酒量や他の肝疾患の有無は問わない包括的な疾患概念・定義として新たに提唱されているMetabolic dysfunction-associated fatty liver Disease (MAFLD)はより実態に合っていると考えられた。 また、肝線維化指標のひとつであるFIB4-indexの分布について検討したところ、健診エコー受診者全体(N=75,670)のFIB4-index平均値±SDは1.20±0.63であり、高齢群ほど高値に分布した。60代では3.8%、70代では16.4%が肝線維化高リスクとされるFIB4-index2.67以上に該当した。FIB4-indexは、年齢の影響が大きいことから一般集団に対する一次スクリーニングとしての肝線維化評価には適さない可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、4年計画の2年目である本年度は、NAFLDの疫学的実態把握のため1年目に実施した解析についてさらに詳細な検討、文献的考察を行い、論文を作成した。現在2本の学術論文を国際誌に投稿中である。 以上のことから概ね順調であると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、脂肪肝診断例の自然史解明に加え、肝線維化マーカーの探索などin vitro研究も実施していく予定である。
|