国立長寿医療研究センターのNILS-LSAコホート対象者430名分の血清についてメタボローム解析を行った。対象者の選定はNILS-LSA第5次調査参加者 (2006-2008 年実施時、40歳以上、2419人)のうち、65歳以上(993名)かつ、約7年後の第8次調査(2013-2016年)に参加し、第5次および第8次調査の2時点の MMSEスコアあり、第5 次調査の保存血清あり、第5次調査のMMSEが27点以上(通常のカットオフポイント 23/24)第5次調査の認知症既往なし(自己申告) の者 は、434名であり、2019年度測定分40名分と合わせて分析を行った。 単相関により、MMSE変化と相関のあるメタボロームを624個のメタボロームより探索(62項目)またこの中より400例以上の測定ができたメタボロームに限定(33項目)これらの中よりさらに性・年齢・喫煙・教育歴・ApoE遺伝子・ベースラインのMMSE値を調整した上でも有意なMMSE変化のあるものを抽出(33項目)、この中で相互の相関係数が0.5を超える場合は測定番号の番号が小さいものを残し、他は削除(6項目)、残った6項目について測定の中央値以上・未満で防御的な側に1点を付すというスコア化といった作業を行ったところ、0点の者(防御因子)0ではMMSEが2.86低下しているのに対し6点の者では0.22点の低下にとどまっていた。メタボロームをスコア化することで認知機能低下を予測できる可能性を示した。東北メディカル・メガバンク計画でのMRI調査に参加した者についても血漿メタボローム測定の追加を行い、NILS-LSAデータの再現が可能か検討を継続している。
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