研究課題/領域番号 |
19H03895
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉村 典子 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60240355)
|
研究分担者 |
村木 重之 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (40401070)
岡 敬之 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60401064)
飯高 世子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80800680)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 予防医学 / 運動器医学 / コホート研究 / ロコモティブシンドローム / 介護予防 |
研究実績の概要 |
本研究は、高齢者の生活の質(QOL)の維持および要介護予防を目的とした大規模住民コホート研究Research on Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability (ROAD)において、コホート参加者に13年目、17年目の追跡調査を実施して、1)17年間のデータの蓄積によって得られた参加者の予後データから要介護の発生率を推定し、要介護の5大原因疾患の前段階である軽度認知障害(MCI)、メタボリック症候群(メタボ)、フレイル、骨粗鬆症(OP)、変形性関節症(OA)の発生率、自然経過を推定し、これらがそれぞれどの時期に発生し、どのように進行するのかを解明することを目的とする。 令和3年度は、地域住民コホートROAD (参加者3,040人(男性1,061人、女性1,979人)、平均年齢70.3歳)の13年目の追跡調査結果を入力整理し、ROAD第5回13年目の調査データセットを完成した。このデータセットから2012-13年に実施したROADスタディの第3回調査参加1,575人(男性513人、女性1,062人、平均年齢65.6歳)を対象として、ロコモ、フレイル、サルコペニアそれぞれの予後(要介護、死亡)を検討した。その結果、ロコモ度3、フレイルの存在はいずれも要介護発生のリスクを有意に高めているだけではなく、ロコモ度3、サルコペニア、フレイルはいずれも死亡リスクを有意にあげていることがわかった。加えて、ロコモ度3、サルコペニア、フレイルの合併は死亡リスクをそれぞれ単独よりも更に高めることがわかった (J Bone Miner Metab, 2022, in press)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ROADスタディ13年目の追跡調査を実施し、13年目のデータセットを完成した。このデータセットを用いて、ロコモの有病率、発生率、予後との関連を解明し、フレイル、サルコペニアについても同様の解析を行いえた。さらに、ロコモ、フレイル、サルコペニアの合併とそれらの予後との関連についても解明し、論文発表を行った(J Bone Miner Metab, 2022, in press) 。 令和4年度には本コホートの17年目の追跡調査を実施する予定である。COVID-19の流行により、追跡調査が延期される可能性はないとはいえないが、これまでのところ検診準備作業は順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度は地域住民コホートROAD (参加者3,040人(男性1,061人、女性1,979人)、平均年齢70.3歳)の17年目の追跡調査を山村コホートにおいて実施する。文書によるinformed consentを得られた検診参加希望者を対象とし、以下の項目の検診を実施する:1)既往歴、転倒、骨折歴、家族歴、職歴、飲酒、喫煙、嗜好品、骨関節の痛みなどの自覚症状、WOMAC、SF-8やEQ-5DによるQOL、栄養調査など400項目、 2)全身の骨・関節に関する理学所見、3)血圧、身長、体重、翼幅、手首回り、腹囲、握力の測定、4)開眼片足立ち検査、いす立ち上がり検査、歩行速度、5)DXA(Hologic Discovery)にて、腰椎L2-4、大腿骨の骨密度を測定。6)膝立位前後像、脊椎前後像、骨盤正面像のX線撮影、7)インピーダンス法(Tanita MC190)により、四肢筋量を測定、8)大腿四頭筋力の測定(アルケア ロコモスキャン))9)血液、尿検査:血算、血糖、HbA1c、脂質、腎機能、肝機能、炎症マーカー、25(OH)D、内因性ホルモン、骨軟骨代謝マーカー等、尿潜血、糖、蛋白測定、10)mini mental statement examinationにより認知機能検査を実施、11)脳MRI検査:脳萎縮度の判定、12) 要介護、死亡、転出の有無の確認。 検診終了後、検査結果を対象者に返送するとともに、内容について説明会を実施し、希望者の医療相談に対応する。その後、検診データ入力を開始する。入力・データ確認を実施した後、個人情報を消去し、ROADコホート17年目の第6回調査(山村部)データセットを完成する。
|