研究実績の概要 |
我々が設立し追跡を実施している地域住民コホートROADにおいて、本研究期間内に17年目の追跡調査を実施し、2,134人(男性702人、女性1,432人)の参加を得た。要介護の原因五代疾患の前段階である軽度記憶障害(MCI)、メタボリック症候群(メタボ)、骨粗鬆症、フレイル、サルコペニア、変形性関節症(膝、腰椎)について、それぞれの有病率とその平均年齢を求めるために、これらの項目をすべて検診で実施している第3回調査(2012-13)結果を用いた(1,575人参加、男性513人、女性1,062人)。メタボについてはその構成要因である体格(肥満、やせ)、高血圧、耐糖能異常、脂質異常の有無を検討した。その結果、60歳代から80歳代にかけて、肥満、高血圧、やせ、耐糖能異常、変形性関節症、脂質異常、骨粗鬆症、フレイル、サルコペニア、軽度認知障害(MCI)の順に蓄積していくことがわかった。これらの対象者を第5回追跡調査までの6年間にわたり追跡して、要介護発生率(65歳以上)、累積死亡率を推定したところ、要介護発生率は2.4%/年、累積死亡率は1.4%/年であった。五大疾患と要介護、死亡との関連を解析したところ、要介護発生に有意な影響を及ぼしているのは、変形性膝関節症、フレイル、MCIであり、死亡に影響しているのはやせ、フレイル、サルコペニア、MCIであった。これらの項目を一つのモデルに入れた場合、要介護影響因子として変形性膝関節症、MCI、死亡影響因子としてやせ、MCIが選択された。ロコモ度3も重要な影響因子であった。 年齢、性、基本的生活習慣項目(喫煙、飲酒)を組み合わせ、簡便な要介護リスク評価ツールベータ版を作成した。ベータ版はまだ感度特異度ともに実用使用には不十分であり、今後第6回調査結果を合わせて、ツールをグラッシュアップする。
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