研究課題
今年度は、10年後調査のアンケート案作成を行った。原則として、手渡し配付のベースライン調査項目を基礎とするが、10年後調査は郵送法であるため、内容の厳選が必要であった。具体的には、詳細な食事調査の項目を削除せざるを得なかった。新たな追加項目については現在さらに検討中である。症例の追跡に関しては死亡、骨粗鬆症性骨折、変形性膝関節症の新規発生および要介護認定者発生数を調査した。骨折は114例、変形性膝関節症は478例、要介護認定は79例を得た。今年度より腰椎椎間板ヘルニアの症例を試行的に収集を開始した。基幹病院である村上総合病院で78症例を得て臨床診断を検討した。しかしながら、整形外科医院から椎間板ヘルニアの収集は困難であることがわかった。対象者の2017年における死亡情報を村上保健所の死亡小票より調査し、107人の死亡を確認した。死因第一位は悪性新生物(47件)で、以下第二位は心血管疾患(16件)、第三位は呼吸器疾患(14件)、第四位は脳血管疾患(9件)であった。村上コホート研究のアウトリーチ活動であるコホート調査だより(No.7)を全調査参加者に送付した。また、2019年8月31日の第14回「村上・岩船地域の医療を考えるフォーラム」(村上市)において成果の報告を行った。論文成果発表に関しては、変形性膝関節症の変容可能なリスク要因の論文を国際誌に発表した。さらに、慢性疼痛および死亡のリスク要因を解明した研究論文の受理を得た。
2: おおむね順調に進展している
本年度の計画である調査票案作成は予定通り行われた。また、フォローアップにおけるアウトカムの症例収集も順調に行われた。また、今年度は論文としての成果発表が加速した。よって、本研究は順調に進展していると言える。
2020年度の冬に10年後追跡アンケート調査を行う。10年後アンケート健康調査は原則として5年後調査と同じ内容・形式で行う。自己申告アウトカムは、慢性疼痛(6ヶ月以上続く痛み)の部位別有無、糖尿病を含むその他疾患の新規発生、および健康関連QOLである。曝露要因については、運動、食生活、嗜好品、生活環境などを調査する。アンケート健康調査票の多くはJPHC-NEXTと共通の様式のものであり、加齢性運動器疾患に関連する病歴や潜在的なリスク要因を評価する独自の項目を加えている。調査票および住民説明書の作成は中村と研究協力者(北村、斎藤、小林、津金)が行う。疾患情報収集は継続して行う必要があり、中村と渡辺慶が担当する。主要な対象疾患は、骨粗鬆症性骨折(四肢・脊椎)、変形性膝関節症(Kellgren-Lawrenceグレード2以上)であり、二次対象疾患は椎間板ヘルニアおよび要介護認定である。フィールド内の全関連病院・整形外科医院および二次保健医療圏の総合病院のデータベースより全新規症例について診療録より臨床診断情報を得る。新規要介護認定の情報は市村より得る。すでに各施設より疾患情報等の閲覧の許可は得ており、症例収集を行っている。コホート研究保有の検体管理は渡邊裕美が行う。バイオマーカー情報およびSNP情報の情報収集はそれぞれ渡邊裕美および伊木が行う。また、5年後フォローアップ調査結果の出版を行う(新潟大学環境予防医学分野大学院生および中村が担当)。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 備考 (1件)
Eur J Pain
巻: - ページ: -
10.1002/ejp.1535
新潟医学会雑誌
-
Maturitas
巻: 128 ページ: 53-59
10.1016/j.maturitas.2019.06.013
http://www.med.niigata-u.ac.jp/hyg/index.html