研究課題/領域番号 |
19H03904
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
北野 尚美 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40316097)
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研究分担者 |
鈴木 啓之 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80196865)
武内 崇 和歌山県立医科大学, 医学部, 大学院研究生 (10246522)
末永 智浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70433365)
垣本 信幸 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90614412)
鈴木 崇之 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40816691)
土橋 智弥 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20828488)
山野 貴司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40624151)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 川崎病 / 冠動脈異常 / 治療抵抗性 / 時間集積性 / 地域集積性 / 多施設調査 / 臨床疫学 / 乳児川崎病 |
研究実績の概要 |
近畿川崎病研究会が関係する近畿2府5県で実施した症例の二次調査は、対象地域の医療機関から第24回川崎病全国調査に報告された2618例(2016年分)を対象とした。調査開始後に新型コロナウイルス感染症が発生したため計画の一部の調整が必要であった。対象施設の8割から対象症例の8割の回答を得た。回収した情報をもとに研究用データベースを構築し、研究分担者らがデータクリーニングを実施した。当初は、疑義データについて調査協力者への照会を予定していたが断念した(新型コロナウイルス感染症流行に伴う医療環境の変化と調査協力者の負担増に配慮)。固定したデータを用いて調査項目について疫学的に記述した。川崎病急性期の治療内容および冠動脈瘤発生状況について、主要データ欠損を除いた1426例を解析した。初期治療は、免疫グロブリン大量療法(IVIG)単独が80%、IVIG療法にプレドニン静脈投与もしくは経口投与併用(IVIG+PSL)が7%、IVIG療法にメチルプレドニンパルス療法併用(IVIG+IVMP)が6%であった。初期治療不応(21%)への2nd-line治療は、IVIG単独が73%、IVIG+PSLが8%、IVIG+IVMPが8%であった。3rd-lineの治療必要例(6%)ではIVIG単独16%、ステロイド使用29%、シクロスポリン使用28%、インフリキシマプ使用18%、血漿交換11%であった。発症後1か月時点で冠動脈瘤を3%に認めた(厚生省班会議基準)。LMS法による冠動脈径のZ-score≧2.50を基準として判定した場合は冠動脈瘤発生は9%と約3倍であった。分担研究で、川崎病発生時の症例登録と情報の前向き収集・蓄積に必要な要素の検討を進め、タブレット版のテンプレートファイルを作成した。また、臨床情報と紐付いた急性期の生体試料情報の収集・保管を進め、一部を用いて予備的分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年冬の新型コロナウイルス感染症流行によって、調査実施のスケジュール調整を余儀なくされた。大学における新型コロナウイルス感染症拡大防止と、地域医療提供のための要請への対応等によって、いずれの研究者においても臨床エフォートを増やす必要があった。加えて、医学教育のオンライン化等への対応の必要があったため予定よりも教育エフォートが増えた。
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今後の研究の推進方策 |
科研費補助金事業で収集したデータを用いて、主に疫学的手法を用いて研究を進める。具体的には、近畿川崎病研究会調査データで、治療抵抗例や冠動脈瘤発生例について、居住地域や臨床所見および治療内容を考慮した解析を計画している。和歌山川崎病研究会調査データで、新型コロナウイルス感染症流行が始まった2020年冬以降に診断された川崎病の特徴を解析し、国際共同研究を前進させる予定である。臨床情報と紐付いて収集・保管した生体試料情報について、性別と発症時年齢を考慮したデータ解析などによって、川崎病発症および冠動脈瘤発生と関連する要因検索を進める。前向きコホート樹立のための症例登録研究準備について、改良点を洗い出して調整を行い、仮登録が可能な段階に進める。 なお、研究者の所属機関でバイアウト制度が導入されれば(事務局によると2022年度に予定)、制度活用の申請を予定しており、それによって本課題研究の推進を図る。既に構築したデータベースを活用した研究を推進するため、学内の若手研究者や女性研究者の研究参加を促し、研究協力者による研究実施を推進する。
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