研究実績の概要 |
エコチル調査の追加調査では、出産8年後の母児に対し、対面で追跡調査を行う際に、追加調査として、希望する母子に対し2台の家庭血圧計を貸与し、1日に朝晩2回の家庭での血圧測定を2週間にわたり実施し、返送してもらった。2019年7月13日から2020年度までの学童期追加調査参加者2,035人のうち、1,088人が家庭血圧測定に同意した。妊娠初期に宮城ユニットセンターで参加した対象者1082人のうち、39名(3.6%)に妊娠高血圧症候群の報告があった。また出生体重が2500g未満で生まれた児の報告は91人(8.4%)であった。アンケート調査返答時点で高血圧、糖尿病、脂質異常症ありと答えた母親はそれぞれ36人(3.3%)、8人(0.7%)、13人(1.2%)であった。降圧薬の内服は28人(2.7%)であった。母親で高血圧と診断される135/85mmHg以上の血圧を示していた人数は85人(7.8%)であり、今回の測定で新規に高血圧が判明した人数は70人(6.4%)であった。妊娠高血圧症候群や低出生体重児の出産がない母親の出産8年後の高血圧有病率は8.53%であったのに対し、妊娠高血圧症群や低出生体重児を出産した母親の出産8年後の既往血圧有病率は43.6%,16.5%と有意に高かった。 BOSHI研究の追跡調査では妊娠高血圧症候群なし190名と妊娠高血圧症候群有り64名を追跡したところ、8年後のHbA1c 5.6%以上となる人数はそれぞれ41人、22人(21.6%,34.4%)と有意に妊娠高血圧症候群有りの群でHbA1cが5.6%以上となるリスクが高かった。
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