研究課題
本研究は、世界的にもこれまで寄与度の推計がなされてこなかった、年齢や初経年齢などの女性要因、遺伝要因などの宿主要因、さらには社会経済格差要因など、すなわち、修正不可能-non-modifiable-な要因で説明できる度合(寄与度)を、日本人について推計することを目的とする。初年度には、対象とする修正不可能-non-modifiable-要因と該当部位がんの決定、最小リスクの定義付けを行った。具体的には、疫学的な修復不可能要因(家族歴、初経年齢や出産数等の女性関連要因)、遺伝子環境要因交互作用多型、リスク関連遺伝子多型、さらに社会経済格差についてそれぞれこれまでの知見から、推計に必要なエビデンスのある要因を選定した。また、修正不可能-non-modifiable-な要因のがんターゲット部位としては、現在までの国内外の報告により、食道がん、胃がん、膵がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮体がん、卵巣がん、前立腺がん及びがん全体と定義することとした。これについては、研究期間中の最新の知見も考慮しながら、今後も柔軟に更新対応する。2年目に当たる本年度(2020年度)は決定した各種定義に沿って、解析に必要な情報収集を進めた。具体的には、これまでの公表データや論文報告から各要因の保有率の情報を収集した他、がんの家族歴や初経年齢等、既存報告などから情報が得にくい場合には、健常人コホート連合等の枠組みを利用して、統合解析による代表値算出の手順を進めている。また、日本人の性年齢群別がん罹患・死亡統計、及び各要因と関連するがんの相対リスクの収集を進めた。
2: おおむね順調に進展している
初年度に決定した必要情報の定義づけを基に、各研究者が各種情報収集または情報作成のための解析を進めたため、特に滞ることなく進捗できた。
本研究期間の前半2019-2020年度には、本研究の根幹となる情報の定義と解析に必要な情報収集を進めることができた。後半の2021-2022年度は、収集した情報を用いて、実際の人口寄与割合推計に進める。この際、全国がん登録、人口動態統計や国民生活基礎調査など推計に必要な情報を、公表値または公的統計資料の二次利用申請により入手する。2021年度には要因毎に人口寄与割合を当該部位がん及びがん全体について推計を試みる。これらの結果について研究班内でその妥当性を討議し、必要があれば方法を改善する。2022年度には、本解析を実施し、要因毎及び修正不可能要因全体の人口寄与割合を推計する。
すべて 2021 2020
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