研究課題/領域番号 |
19H03915
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
斎藤 民 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 部長 (80323608)
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研究分担者 |
近藤 克則 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 部長 (20298558)
村田 千代栄 東海学園大学, 健康栄養学部, 教授 (40402250)
櫻井 孝 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, もの忘れセンター, センター長 (50335444)
小野 玲 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (50346243)
石原 眞澄 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (70759597)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症 / 社会参加 / 大規模データ |
研究実績の概要 |
2020年度は、データ解析や意識調査準備を実施した。 1) 国立長寿医療研究センターもの忘れ外来初診者データに受診後の死亡情報を突合するデータセットを整備し、社会参加状況と死亡リスクとの関連を検討した。65歳以上で軽度認知障害(MCI)あるいはアルツハイマー型認知症(AD)と診断された人を対象とする予備解析から、老人クラブ等地域活動に参加するAD女性、MCIおよびAD男性において死亡割合が低い傾向が認められた。また就労的活動に携わるAD男性において死亡割合が低い傾向が認められた。次年度に解析を精査する予定である。 2) 日本老年学的評価研究(JAGES)との協同により、4市町の要介護認定非該当(自立)65歳以上男女への調査データおよび要支援1以上(要介護)65歳以上男女(本人か介護者が回答)への調査データを取得した。双方のデータに社会参加状況に関する共通項目を設け、比較可能性を担保した。社会参加を友人等との交流、閉じこもりと操作的に定義して予備解析を実施した。①要介護者データにおいて、様々な要因の影響を調整しても、認知症自立度が低い要介護者は友人等との交流が少なく、家族介護頻度が低い要介護者で閉じこもり割合が高かった(国内学会において報告)。②自立高齢者および要介護者データにおいて、友人等との交流は高齢者の生活自立度を問わず認知症有無と関連していたが、閉じこもりとの関連は明確ではなかった。 3) 認知症の本人と家族への支援意識に関するインターネット調査を実施し、20~69歳男女1172名からの有効回答を得た。認知症者の社会参加に対し肯定的意識を持つ人は約7割、認知症者や家族の居場所づくりに関与したいと回答する人が3割弱みられた。次年度にこれらの回答に関連する要因について解析予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に沿い、今年度は前年度に得た2つのデータセットを用いて解析を開始することができた。一方、一般住民の認知症者や家族への支援意識に関する調査については、新型コロナウィルス感染症流行に伴う2度の緊急事態宣言の影響を受け、当初計画と比べ実施時期が遅れることとなった。そのため当初計画を変更し、インターネット調査を実施することにより無事に計画を遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
整備したデータを用いて、引き続き分担研究者や研究協力者と協力して解析を推進する。最終年度となる2021年度は、引き続き研究内容や解析方法等に関する情報収集を行いながら国内外の学術誌や学会において成果発表を実施する。外来患者の予後データについては、現時点では予後変数として全死亡のみを用いて解析しているが、今後死因別死亡や要介護認定等の突合も視野に入れ、社会参加と予後との関連をより詳細に検討予定である。 認知症の本人や家族への支援意識に関する実態調査についても引き続き解析を進める。これらの解析結果を踏まえ、最終年度における研究総括を行う予定である。研究の円滑かつ効率的な遂行のため、適宜研究補助者の雇用や作業の外注を活用する。
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