研究課題/領域番号 |
19H03921
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
兵藤 好美 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 教授 (90151555)
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研究分担者 |
田中 共子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40227153)
柘野 浩子 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00613910)
中村 美枝子 流通経済大学, 社会学部, 教授 (30207922)
山本 恵美子 宮崎大学, 医学部, 講師 (50464128)
近藤 真紀子 (前田真紀子) 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (70243516)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 情報伝達教育 / 認知機能の低下 / 確認不足 / ヒヤリハット / 時間切迫 / 焦り / 間違いやすい配列 / 大丈夫 |
研究実績の概要 |
《2019年度》基盤モデルでは個人レベルでの、情報伝達教育の開発に該当する。本年度の目標は「特性ゲーム」の充実化に焦点を当てて、構造化を目指すことであった。そのために実践したことを下記へ報告する。 1.①大学生62名(1~4年生)を対象とし、時間切迫による認知機能の低下等、複数要因を操作して個人のエラー発生を実験的に検証した。ゲームの実施前後で「時間の余裕がないと間違いをしてしまうと思う」,「事故やエラーはよく注意していれば起こらないと思う」,「どうすればエラーを防止できるか、行動上の工夫を知っている」,「思いこみ、事故やエラー防止の妨げになる」で有意差が認められた。②看護学生4年生70名を対象とし7群に分け,口頭伝達の危険性と対策の検討を目的に,ーミングシミュレーション(以降ゲームと略)を行った。それぞれ異なる条件(条件なし,時間切迫, 中断,メモ,確認,メモ&確認,単純)で3回伝言ゲームを 実施した。①②とームへの反応事前-事後デザインで、ゲームの最中と直後の反応を分析。個人の 安全態度など評価項目を用意し、測定値は統計的に分析。作成した尺度の妥当性を検討した。 2.今後、参加者の作業能率とエラー生起率の変化、視線の動きを測定するため機器(視線追尾装置)を購入して、プレテストによる準備中。 3.医療事故の個人要因において最も報告件数の多い「確認不足」の発生状況に注目し、ヒヤリハットの高低差が起こりやすいかを統計的に分析した。その結果、①時間切迫で、急がされた時,②焦っていた,③間違いやすい配列だった時,④ほかの人がやってくれたので、確認しなくても大丈夫だと思ったかどうかによって有意な差が生じることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね当初の予定通り、進んでいると思われる。 特に、今年度はゲーム作成に当たって、何がヒューマンエラーの発生要因となるかを明らかにすることができた。このことはエビデンスに基づいたゲーム開発に繋がり,今後はこれらをどのように組み合わせて行くかが課題になっていくと思われる。 当初は、参加者の作業能率とエラー生起率の変化、視線の動きを測定、注意力の変化と認知的な歪み度を関数に投入し、エラーの発生と抑止過程を模式化することを計画していた、しかし、視線追尾装置についてはまだ、使用を試みて見ている段階であるため、データ解析までには、もう少し時間が必要と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況でも述べたが、ゲーム作成に当たって、何がヒューマンエラーの発生要因となるかを明らかになった。そこで2020年度は、これらをどのようにゲーム化していくか、さらにその組み合わせ方法について検討を行う。そしてゲーム作成過程における精度の向上を目指し、同時にその検証を行う。 なお、視線追尾装置の取り扱いについてはできるだけ早く習熟し、作成したゲームの成果を視線の動きとともに注意変動を分析していきたい。そして、エラー多発群と僅少群で認知行動的差異を検出していく予定である。 確認不足については質的データーが入手できており、今後は「確認不足」に関する尺度開発も併せて行う予定である。信頼性、妥当性の検証を行い、臨床の看護師(特に新人看護師)向けの開発を目指し、検討を重ねていきたい。
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