研究課題/領域番号 |
19H03937
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
小竹 久実子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90320639)
|
研究分担者 |
鈴鴨 よしみ 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (60362472)
甲斐 一郎 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 名誉教授 (30126023)
岩永 和代 福岡大学, 医学部, 准教授 (40461537)
高橋 綾 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (70331345)
栗田 麻美 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00574922)
羽場 香織 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90419721)
石橋 曜子 福岡大学, 医学部, 助教 (70469386)
太田 一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00326323)
上村 裕和 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (90285370)
原 頼子 久留米大学, 医学部, 教授 (60289501)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 喉頭摘出者 / QOL / 術前から退院12ヶ月後 / RCT / 看護介入 / 情報的心理的サポート / 嚥下困難 / 味覚嗅覚障害 |
研究実績の概要 |
研究目的は, 喉頭摘出者の術前から退院12か月後までの定期的な情報的・心理的看護介入効果をRCTにて検証することであった。方法は、看護介入群を面接とガイドブックを定期的に行うこととし、非介入群をガイドブックのみとした。術前、退院前、退院3ヶ月後、退院6ヶ月後、退院12ヶ月後の5回調査を行った。結果、対象者は、看護介入群32名、非介入群51名で術前からスタートした。平均年齢は、看護介入群、非介入群それぞれ、69.7±8.5歳、68.6±9.7歳、男性29名(90.6%)、有職者10名(31.3%)、21名(41.2%)、無職者18名(56.2%)、24名(47.1%)であった。主観的症状について術前からの推移をみると、術前の嚥下困難あり(68.8%,56.9%)、退院前(57.6%,48.0%)と差がみられ、退院3ヶ月後(47.8%, 48.9%)、退院12ヶ月後(38.9%, 43.6%)と逆転していた。味覚嗅覚障害は退院6ヶ月後まで看護介入群が60-76% 近く有りだったが、退院12ヶ月後には50%となり、非看護介入群とほぼ同じ率までさがった。医師記録では、退院前の嚥下困難(18.8%, 25.5%)、味覚障害(31.3%, 33.3%)、嗅覚障害(37.5%, 29.4%)と患者の主観的症状の訴えとは差のある結果であった。QOLは、日常役割機能身体の術前(36.2点、39.8点)であったが、退院3ヶ月後に逆転し、43.4点、34.4点であった。精神も同様に、術前(33.5点, 37.6点)であったが、退院3ヶ月後に35.3点、30.2点と逆転していた。質的に分析した結果、術前の喉頭摘出術を受ける患者のQOLは、違和感や先を予測できない不安定な思いも抱きながら心身のバランスをとろうと努力して手術という課題に集中し目標を持って無事に乗り切ろうと生活していると定義づけられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19の影響もあり、対象者数があまり増えていない。特に九州のほうの調査が全く進まない1年であった。奈良医大病院は少数ながらも対象者を順調に紹介いただき、縦断調査ができている。ガイドブックの改正と面談マニュアルも作成し、地域差が少なくなるように準備体制は整えることができた。学会報告も海外でアクセプトされ、今度の7月に発表予定である。月例会議では、文献抄読会、進捗状況報告も行いながら、コロナ禍でも看護介入検証が進む手立てを検討している。
|
今後の研究の推進方策 |
1.久留米大学のほうでの調査体制も整えることができたことから、今年度は調査ができることを期待している。奈良医大病院の調査はこのまま順調に進められるように担当医や病棟看護師と密に連携を取って検証していく。 2.福岡大、九州大学病院は倫理審査も通ってスタンバイ状態であるが、九州がんセンターは再度、調査依頼をする予定である。日本がん看護学会の頭頸部がんSIGグループのメンバーに協力を求めて調査場所を広げる検討をしている。 3.月例会議で文献検索や勉強会を行いながら、共同研究者のモチベーションを高めることや、情報交換をしあいながら、調査できる工夫をしていく予定である。 4.ENDNOTEを用いた文献管理を科研メンバーで共有して、抄読会を継続し、レビュー論文および結果の途中経過報告の論文作成など行う予定である。 5.質的研究も進めており、昨年は術前の結果を出すことができたため、退院前から退院12ヶ月後までの生活のプロセスを明らかにする予定である。
|