研究課題/領域番号 |
19H03950
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
篠崎 克子 第一薬科大学, 看護学部, 教授 (30331010)
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研究分担者 |
江藤 宏美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (10213555)
神尾 博代 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 助教 (30289970)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 骨盤底筋群 / 産後尿失禁 / 分娩体位 / 分娩時努責 |
研究実績の概要 |
目的:妊娠・分娩が骨盤底機能にどのような影響があるかを分析・解明することである。 方法:対象は、正常に妊娠・分娩経過した産後1か月の女性。調査協力は3施設に依頼した。調査内容は、International Consultation on Incontinence Questionnaire Short Form: ICIQ-SF の項目及び骨盤底機能に影響する要因の項目を追加した質問紙をgoogle formで回答を得た。また、カルテより、対象者の属性、助産ケアに関する項目、分娩時の骨盤機能に影響する項目を情報収集し、質問項目と共に分析した。分析は、尿失禁の有無を従属変数とし各項目を分析した。 結果:81名の対象者の協力を得られた。この内、尿失禁のある者は29名であった。尿失禁を従属変数としロジスティック回帰分析を実施した結果、女性の年齢が若く、分娩体位が多様な分娩体位で尿失禁の出現が有意に少なかった。t検定では、児頭囲が小さいほど尿失禁が有意に減少していた(p=.032)。また、有意差はなかったが、分娩所要時間が短いほど尿失禁の出現は低い傾向にあり、特に分娩第2期所要時間が短い程、その傾向は強かった。さらに、努責方法に関してもバルサルバ努責法と比較して自然な努責を実施した者に尿失禁の出現は少ない傾向がみられた。 結論:これらの結果より、助産ケアとして、なるべく自然な努責を誘導し、多様な分娩体位で分娩所要時間を短縮することが、尿失禁の予防に関与することが示された。自然な努責、多様な分娩体位は、対象者の意思が尊重できる満足感が高い尿失禁予防策であり、助産師による今後の活用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査施設は、産婦人科診療所1施設、助産所2施設で合計施設の協力を得た。しかし、COVID-19 の感染拡大により、面会の中止、研究者の立ち入り中止の処置がなされた。このため、対象者への研究協力依頼が不可能となり、出生率の低下も重なり、対象者の獲得が困難な状況に陥った。
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今後の研究の推進方策 |
尿失禁だけでなく骨盤底機能障害について対象者がわかりやすい媒体を作成し、産後の骨盤底機能に有用なエクササイズや日常生活についての予防策を提案する。調査に関しては、子育て中の繁忙さもあるため、託児施設を開拓し、研究に参加しやすい環境を作る。 また、研究協力施設のスタッフに、対象者にできるだけ協力していただくよう依頼する。
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