研究課題/領域番号 |
19H03978
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
牧迫 飛雄馬 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70510303)
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研究分担者 |
大石 充 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50335345)
窪薗 琢郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00598013)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨格筋 / サルコペニア / アクチニン / 高齢者 / 筋力 |
研究実績の概要 |
2021年度は、地域コホート調査に参加した高齢者のうちで同意の得られた59名について、αアクチニン(ACTN)3の遺伝子型(口腔粘膜法)の検査を実施した。また、これらの対象者からは、縦断的な身体機能(握力、立ち上がり、歩行速度など)、身体組成(四肢骨格筋量、体脂肪率など)、その他の健康関連指標(転倒歴、認知機能、要介護認定状況など)に関するデータを取得した。2019年度にαアクチニン(ACTN)3の遺伝子型のデータを取得した75名、2020年度に取得した196名と合わせて330名のαアクチニン(ACTN)3の遺伝子型に関するデータが取得されており、身体機能や骨格筋量などの指標との関連性については横断的な解析を進めている。本研究におけるACTN3の遺伝子多型の割合は、アジア人を対象とした先行研究とほぼ同等の割合で存在しており、一般性の高い集団における結果であると解釈できる。これらのαアクチニン(ACTN)3の遺伝子型のデータと身体機能、身体組成、その他の健康関連指標との横断的な連結は随時進めており、横断的解析を進めている。一部の成果については、国内学会での演題発表済みであり、国際誌にも投稿し、掲載されている。アウトカム指標となる要支援・要介護の新規発生および悪化・改善の縦断的なデータの取得・管理体制について、行政と連携してシステム構築を進めており、新規の要支援・要介護の発生、要介護度、認定月などのデータの連結作業を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たるデータであるαアクチニン(ACTN)3の遺伝子型は330名までのデータ取得が進んでおり、概ね計画通りに進捗できている。2021年度については、新型コロナ感染症拡大の影響があり、調査規模を縮小せざるを得ない状況であったが、そのような状況の中で、αアクチニン(ACTN)3の遺伝子型のデータ取得が79名分の追加が可能であった。対象地域コホートの地域住民とした縦断的な身体機能(握力、立ち上がり、歩行速度など)、身体組成(四肢骨格筋量、体脂肪率など)のデータ取得については、新型コロナ感染症拡大防止のため、2020年度の実施は見送りとなったが、2021年度は再開できており、中高齢者551名の調査を行った。これらの地域コホートでの調査研究は行政機関との協議を進めながら行っている。サルコペニアの有無、フレイルの有無などの判定の解析の他、アウトカム指標となる要支援・要介護の発生状況についても順次データの収集を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、対象地域コホートにおける地域住民が参加した健康チェックのデータとαアクチニン(ACTN)3の遺伝子型の検査結果との連結を進めていき、アクチニン(ACTN)3の遺伝子型データの収集を継続する。2022年度では70から100名程度のアクチニン(ACTN)3の遺伝子型データ数の拡大を目指す。新型コロナウイルス感染症拡大の予防対策として、これまで以上に研究の実施方法にも十分な配慮が必要な状況となっている。特に高齢者が対象であり、感染のリスクも大きいため、対象者の安全を最優先に自治体と綿密に連携をとりつつ、研究の実施を慎重に行っていく。今後も自治体との協働で円滑に進められるように連携を強化して、研究の推進を図る。また、本研究に参加した高齢者に対する健康指標のフィードバックを円滑に行う体制にも注力していく。横断的な解析に加えて、縦断的なデータ解析が可能となるようなデータセットや分析システムの構築も推進していく。
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