研究課題
遅発性筋痛(いわゆる運動後の筋肉痛)は日常的に誰もが経験する筋の痛みまたは不快感であり、患者・高齢者・労働者・アスリートなど、多くの人々の生活動作や競技パフォーマンスを低下させる。そのため、遅発性筋痛のメカニズムを解明し、治療・予防法の確立に役立てることはスポーツ医学やリハビリテーション領域において極めて重要である。また近年、遅発性筋痛にみられる痛覚過敏において、「筋膜」の役割が示唆されつつある。これらを踏まえ、2021年度は遅発性筋痛の発生源として、筋膜組織の関与の実証に取り組んだ。反復伸張性収縮負荷による遅発性筋痛モデルラットの下腿筋膜を対象に、これまでにモデルラットの筋で発現増大し、遅発性筋痛の発症に重要な役割を果たすことがわかっている神経成長因子およびシクロオキシゲナーゼ2のmRNA発現をリアルタイムRT-PCRにて定量化した。また近年、炎症性機械痛覚過敏に関わる分子として同定されているTmem120A (TACAN)についても解析を行った。しかしながら、いずれの分子も筋での発現増大は観察されたものの、筋膜での発現レベルに変化はみられなかった。引き続き他の候補分子の可能性を検討し、遅発性筋痛における筋膜の役割の解明に取り組む予定である。また、2021年度は遅発性筋痛の基礎と臨床を結びつけるトランスレーショナル研究にも取り組んだ。ヒト被験者を用い、腰背部筋に対して反復伸張性収縮を負荷し、傍脊柱起立筋群の圧痛閾値を広範囲かつ体系的に記録した。その結果、胸腰部の傍脊柱起立筋群における圧痛閾値ヒートマップを作製することができた。これはヒトにおける新たな筋・筋膜性腰痛モデルであり、理学療法効果を実証するための基礎研究モデルとしても有用であると期待できる。現在、研究成果を論文投稿中である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Neuroscience Research
巻: - ページ: -
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