研究課題/領域番号 |
19H03991
|
研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
篠原 正浩 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究室長 (60345733)
|
研究分担者 |
中浜 健一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60281515)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 不動性骨粗しょう症 / 骨代謝 / 破骨細胞 / GPCR / シアストレス |
研究実績の概要 |
身体不活動の状況が長期間にわたり継続すると、骨組織に対する力学的負荷(メカニカルストレス)の減弱ため骨量は著しく減少し、不動性骨粗しょう症を発症する。この骨量減少は、骨組織のメカニカルセンサー細胞である骨細胞における破骨細胞分化因子RANKLの発現亢進に大きく依存すると考えられていた。しかし、不動性骨粗しょう症を発症させたモデルマウスにメカニカルストレス負荷を行うと骨組織のRANKL発現の変動に先立って破骨細胞数が減少することを見出したことから、本研究では破骨細胞に対するメカニカルストレスの直接的な影響の重要性ならびに破骨細胞減少の分子メカニズムを解明し、骨粗しょう症の新規治療法の確立を図る。 今年度は、昨年度にCRISPR/Cas9システムを利用したGPCR欠損破骨細胞前駆細胞株を用いた解析を実施した。このGPCR欠損破骨細胞前駆細胞株はin vitroにおける破骨細胞分化培養系では野生型細胞と同様に破骨細胞を形成し、破骨細胞分化には関与していないことが判明していたことから、今年度はGPCR欠損破骨細胞前駆細胞株に対してメカニカルストレスの一つである剪断応力(シアストレス)負荷を行った際の破骨細胞分化ならびに破骨細胞の生存能に対する影響について解析を行った。その結果、野生型細胞に対してシアストレス負荷させると破骨細胞の形成は抑制されることが判明した。一方、GPCR欠損破骨細胞前駆細胞株では破骨細胞分化の抑制が起こらないことが判明し、GPCRはシアストレス負荷時の破骨細胞形成抑制に重要であることを明らかにした。 この結果を受け、in vivoにおいてもGPCRが骨組織に対する力学的負荷(メカニカルストレス)の減弱時の骨量減少に関与することを明らかにするため、GPCR欠損マウスの作成に着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GPCR欠損細胞株を樹立し、GPCRはシアストレス負荷時の破骨細胞形成抑制に重要であることを明らかにし、in vivoにおいてもGPCRが骨組織に対する力学的負荷(メカニカルストレス)の減弱時の骨量減少に関与することを明らかにするためのGPCR遺伝子欠損マウスの作成を開始できていることから、研究は概ね順調に進行しているものと考えられる。 一方、GPCRを介したシアストレスによる破骨細胞分化抑制の分子メカニズムに関する解析については、新型コロナウイルス感染症による活動制限があったため、予定の計画より遅れている。この点については、一部研究費の繰越を行い、2021年度に実施することとした。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、今年度に予定していたGPCRを介したシアストレスによる破骨細胞分化抑制の分子メカニズムに関する解析を行うとともに、GPCR欠損マウスの作出と表現型解析を行う予定である。
|