疲労はアスリートはもちろん、多くの人々の日常生活でも生じ、克服したい憎い存在と考えられがちである。しかし、裏を返せば、疲労はオーバートレーニングや過活動を未然に防いでくれるアラートとして働くとも理解できる。本研究では、疲労運動の動物モデルにおける神経シグナル操作により、疲労を生み出す脳機構の一部に乳酸が関与し、脳のエネルギーとなることで脳を保護しながら、神経の抑制信号として心身の活動を抑える可能性を明らかにした。この成果は、上述の二面性がどちらも疲労の本質であるという前提を支持し、健全な疲労の予防・克服方策開発の道を開くものである。
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