研究課題/領域番号 |
19H03995
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
前田 清司 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (30282346)
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研究分担者 |
黒尾 誠 自治医科大学, 医学部, 教授 (10716864)
山縣 邦弘 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90312850)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / 動脈硬化 / 心血管機能 / 血中CPP / 身体活動 / 身体機能 / 運動 |
研究実績の概要 |
高齢化の進むわが国で漸増している中高齢の慢性腎臓病患者において、動脈硬化の予防・改善策を確立することは、心血管疾患の発症予防の観点から極めて重要な課題である。そこで本研究では、「定期的な運動の実践により、骨吸収亢進と腎機能低下が抑制され、その結果、動脈硬化進行因子である血中カルシプロテイン粒子レベルが減少し、動脈硬化が改善する」という研究仮説の検証を行ってきた。 今年度は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発令により、昨年度開始した分析的観察研究を継続しての測定が途中で中止となった。緊急事態宣言発令後に測定予定だった対象者には、郵送で対応可能な項目(アンケートや座位行動・身体活動)のみ調査を行った。さらに、昨年度実施した分析的観察研究の初回測定のデータを用いて探索的な検討を行った。その結果、日常的な身体活動や身体機能が中高齢慢性腎臓病患者の心血管機能や血中カルシプロテイン粒子レベルの規定因子であることを示唆する研究成果が得られた。具体的には、身体活動時間が長く、身体機能が高値を示す対象者では、腎機能(推算糸球体濾過量)、心血管機能(圧受容器反射感受性)、骨密度などが高値を示し、逆に、血中炎症性マーカーや腎内血管抵抗指数は低値を示すことが明らかとなった。加えて、副次的な研究成果として、中高齢慢性腎臓病患者における日常的な身体活動や身体機能は、精神的健康度や性機能とも関連することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発令により、昨年度開始した分析的観察研究を継続しての測定が途中で中止となった。緊急事態宣言発令後に測定予定だった対象者には、郵送で対応可能な項目(アンケートや座位行動・身体活動)のみ調査を行った。さらに、慢性腎臓病患者を対象にした監視下での有酸素性運動介入試験(ランダム化比較試験)を計画し、研究倫理申請などの準備を進めていたものの、この研究についても新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止を余儀なくされた。昨年度実施した分析的観察研究の初回測定のデータを用いて横断的な検討を行い、日常的な身体活動や身体機能が中高齢慢性腎臓病患者の心血管機能や血中カルシプロテイン粒子レベルの規定因子であることを示唆する研究成果を得ることが出来たが、本研究の進捗状況はやや遅れている状態であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新型コロナウイルスの感染状況を考慮しながら中高齢慢性腎臓病患者の分析的観察研究を継続し、縦断的検討を行う。新型コロナウイルスの感染拡大は今後も継続することが予想され、今年度予定していた監視下での有酸素性運動介入試験は来年度も実施困難である可能性がある。今年度の研究成果から、日常的な身体活動や身体機能が中高齢慢性腎臓病患者の心血管機能や血中カルシプロテイン粒子レベルの規定因子である可能性が示されたことから、日常的な身体活動量や身体機能を介入標的としたコロナ禍でも実施可能な介入研究を計画し、実施予定である。
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