研究課題/領域番号 |
19H03997
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研究機関 | 尚美学園大学 |
研究代表者 |
海老原 修 尚美学園大学, スポーツマネジメント学部, 教授(移行) (50185138)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リバース・インテグレーション / インクルーシブ・スタンダード / 縦断的追跡調査 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、いわゆる健常者による障害者スポーツ体験となるリバース・インテグレーションがはたしてインクルーシブ教育の推進に資するか否かを検討する。日常生活における障害者やマイノリティにたいする多角的な観点別評価指標となるインクルーシブ・スタンダードへの2019年度と2020年度の追跡調査を通じて体験者と未体験者を比較・分析し、インクルーシブ・スタンダードの妥当性に言及する。すでに2016年度・文部科学省科学研究費助成事業(挑戦的萌芽研究)「学校体育への障害者スポーツ導入によるインクルーシブ教育の推進」において、障害者・マイノリティや障害者スポーツの絵柄をイラストで制作し、知識・理解、意欲・関心、態度・行動を指標とするインクルーシブ・スタンダード試案を準備した。障害者・マイノリティへの対応となるインクルーシブ・スタンダードは、第1指標「片手で杖を使っている」、第2指標「義足をつけている」、第3指標「義手をつけている」、第4指標「白状(白い杖)や杖を使っている」、第5指標「車いすを使っている」第2指標「義足をつけている」、第6指標「補聴器をつけている」、第7指標「手話を使っている」、第8指標「」酸素吸入器を使っている」、第9指標「妊娠マークをつけている」、第10指標「盲導犬を連れている」、第11指標「外国人のかた」、第12指標「LGBT(多様な性)」より構築する。なお、ここでのインクルーシブ・スタンダードへの回答選択肢は2分法であるが、その回答形式は関与の深浅に応じて適宜設定できる。さらに、これらのインクルーシブ・スタンダードの妥当性を客観的に確認するべく、障害者スポーツに詳しい先生方、スタンダード創設に詳しい先生方との意見を交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の繰り越しは障害者スポーツの出前授業における謝金や交通費であったが、コロナ禍の影響で出前授業を中止・延期せざるを得なかった。2021年度もまた同じ状況が予見されるなか、児童・生徒におけるリバース・インテグレーションにともなうインクルーシブ・スタンダードの比較・分析にとどまらず、成人にみるリバース・インテグレーションの効果をインクルーシブ・スタンダード指標の比較・分析を通じて、インクルーシブ・スタンダードの妥当性を検証するとともに、専門家との意見交換ならびにやに差し向けた。
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今後の研究の推進方策 |
このようなプログラムの実践がはたしてインクルーシブ教育の推進に資するか否かを問うには、妥当性、信頼性、再現性を備える適切な評価基準が必須となる。その指標としてのインクルーシブ・スタンダードの開発・評価・分析が本研究の学術的独自性と創造性となる。海老原・石田(2008)は小学校教員養成段階で培う質と水準に関する枠組み「横浜スタンダード」(8領域50項目の観点別評価基準)を開発・評価・運用するべく、8領域、44指標の観点別の基本的素養の評価基準を示す。この手順を援用して、インクルーシブ教育の効果を客観的に測定する指標としてインクルーシブ・スタンダードを開発し、その妥当性を検証した。インクルーシブ・スタンダードの開発、障害者スポーツを共通教材として障害児と健常児が協働して体験するリバース・インテグレーションの制度設計こそが実践的なインクルーシブ教育の端緒となる。2019年度と2020年年度に回答した対象者を引き続き、追跡的調査を実施する。
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