研究課題
スポーツ外傷・障害に対する新規低侵襲治療として注目されている多血小板血漿(platelet-rich plasma; PRP)療法であるが治療効果を左右する因子は不明な点が多かった。当研究ではPRP療法の効果を左右する因子を解析し、幾つかの予後規定因子を同定した。PRPは薬物療法と異なり自己血液を利用するため、副作用が少ないという利点がある一方で、血液中の生理活性物質は個人ごとに異なるためPRPの品質が一定しないという欠点がある。そのため、まず我々はPRP中の成長因子の個体差を検討し差が大きいことを明らかにした(WakayamaらRegenerative Medicine Research. 2020;8:3)。また、膝関節炎のスポーツ選手は一般患者よりもTNFαやIL-6などは低くPDFG-BBやIGF-1などの成長因子は高いことを明らかにした(齋田ら2021年日本整形外科基礎学術集会)。次に、517名の患者でPRP中の血小板数が治療効果に影響を及ぼすかどうかを検討したが、影響していなかった(SaitaらJournal of clinical medicine)。また、年齢や性別も効果を規定せず、変形の重症度は高いほどPRP療法の効果が減弱していた。さらに、血小板の中でも幼若で活性が高い血小板(幼若血小板)の比率が高いほどPRP療法の効果が高く、血小板の数ではなく質が効果を規定することを示した(Uchinoら Regenerative Therapy, 2021)。最後に、治療前後の様々な生理活性物質を解析し、関節液中のマトリクスメタロプロテアーゼ3(MMP3)が高いほどPRPの効果が減弱することを明らかにした。また、関節液中ではTNF-αとMMP3が低下し、関節軟骨破壊産物である尿中NTX-2も有意に低下することを示した(内野ら2021年日本再生医療学会)。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Regenerative Therapy
巻: 18 ページ: 176~181
10.1016/j.reth.2021.06.004
Journal of Clinical Medicine
巻: 10 ページ: 4514~4514
10.3390/jcm10194514
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/seikei/patient/prp.html