研究課題/領域番号 |
19H04017
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高橋 英幸 筑波大学, 体育系, 教授 (00292540)
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研究分担者 |
亀井 明子 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツメディカルセンター, 先任研究員 (10276636)
元永 恵子 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 研究員 (20330516)
小島 千尋 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (00845878)
石橋 彩 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (40756524)
下山 寛之 筑波大学, 体育系, 助教 (80760652)
近藤 衣美 筑波大学, 体育系, 特別研究員(PD) (50515707)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 筋グリコーゲン / 磁気共鳴分光法 / 骨格筋 / 炭水化物 |
研究実績の概要 |
運動による筋グリコーゲン(Gly)の減少はパフォーマンスの低下や筋疲労に繋がるため、良いパフォーマンスを発揮・維持するためには、減少した筋Glyを素早く回復させる必要がある。しかしながら、競技種目特性や個人特性に応じた素早い筋Gly回復のための栄養摂取戦略で必要となる、筋Gly回復速度の部位特異性や競技種目特異性、筋Gly回復速度の個人差に影響を及ぼす要因、等に関する知見は十分ではない。 令和3年度は、新型コロナウイルス感染予防のために、実際の競技者を対象とした、競技種目特異性を検証するための実験の多くを実施することができなかった。そのため、過年度計画で実施できなかった、運動を伴わないGlyローディングによる異なる筋での筋Gly濃度変化の違いを明らかにする検討を行った。健常成人男女8名を対象として3日間の高炭水化物食(10g/kg/日)摂取の摂取前、1日後、3日後に、炭素磁気共鳴分光法を用いて上腕部(上腕三頭筋)および大腿部(外側広筋+中間広筋)の筋Gly濃度を測定した。体重、体水分量は摂取前と比較して3日後に有意に増加した。上腕部、大腿部の筋Gly濃度は、1日後では変化しなかったが、3日後には両部位で有意に増加し、筋Gly濃度の増加率は上腕部で24%、大腿部で27%と類似していた。しかしながら、上腕部と大腿部における筋Gly変化量および変化率の関係を調べた結果、両者の間に有意な相関は認められなかった。 以上より、運動を伴わない3日間の高炭水化物食摂取により上腕と大腿の両部位で筋Gly濃度が約25%増加すること、そして、同一被検者内での上腕部と大腿部の変化は必ずしも同程度ではないことが示された。このような部位・筋による差異には筋線維組成や代謝特性の違いが関与している可能性があり、異なる部位・筋での変化を解釈する際には留意する必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染予防および東京2020オリンピック・パラリンピック開催のため、実験実施機関における施設利用が大きく制限されたため、令和3年度に予定されていた実験、特に、実際の競技者を対象とした実験の多くを実施することができなかった。一方、過年度に予定していた、健常一般人の男女を対象とした基礎的実験を実施するこができたため、研究全体としての進捗はやや遅い程度に収めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度も、新型コロナウイルス感染の状況に応じての実験実施が余儀なくされる状況ではあるが、その状況をふまえながら、これまで十分なデータを蓄積することができなかった、実際の競技者を対象とした、複数の異なる筋を対象とした筋グリコーゲン測定、および、各競技種目で最も筋グリコーゲンが変化する筋を同定する研究に関する実験を中心に実施する。さらに、令和4年度は最終年度として、必要に応じて各研究の追加実験を行うとともに、全体のまとめ作業を実施し、得られた研究成果に関しては、学会等での発表、論文作成・学術雑誌への投稿を行う。
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