研究課題/領域番号 |
19H04020
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
古屋 晋一 上智大学, 上智大学, 准教授 (20509690)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 可塑性 / 局所性ジストニア / 感覚運動統合機能 |
研究実績の概要 |
膨大な練習の結果として獲得される熟練技能や,その結果として発症する疾患による症状には,大きな個人差が存在する.このような個人差は,どのような要因と関連しているかを明らかにするために,本研究は,エキスパートのモデルとして演奏家(健常者および局所性ジストニア患者)を対象に,巧緻技能の重要要素である“力制御の粒度”の個人差の背景にある感覚運動機能の役割に焦点を当て,行動実験と機械学習と介入を繋ぐ研究パイプラインを通して,技能と脳神経機能の因果性の解明に取り組む.さらに,熟練技能促進を最適化するテイラーメイド訓練法の開発に不可欠である訓練効果の予測因子を同定するため,「訓練による機能増強が技能向上に及ぼす影響の個人差は,個々人の感覚の嗜好性と関連する」という仮説を検証する. 当該年度は,力触覚および聴覚のそれぞれの感覚機能を評価するための行動実験を,健常なピアニスト,非音楽訓練経験者,および局所性ジストニアを罹患したピアニストらを対象として実施した.その成果,特に力触覚機能においては,3群の間で有意な差が認められた他,聴覚機能に関しては,健常な2群の間で有意差が認められた.さらに,力触覚機能と運動機能の個人差を調べた結果,両者の間に相関が認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のために困難であった実験は慎重に行い,その結果,機能評価研究の成果はジャーナル論文として受理された.
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今後の研究の推進方策 |
動きや感覚の機能の分解能を評価する実験系のデザインと評価に取り組む.また,背景にある神経生理メカニズムを明らかにするための電気生理実験に取り組む.
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