地球温暖化により気温35 °C以上の猛暑日の日数が年々増加している。マスコミや地方公共団体が熱中症に対する警戒を呼びかけているにもかかわらず、その死 亡人数は増加の一途をたどっている。通常pH(水素イオン指数)酸性側に調整されている体表面近傍にある細胞外液が、熱中症では長時間の体温上昇によって減少し、pHが0.1程度アルカリ性側に変化ことが知られている。本研究では、体表面のpHおよび温度を直接測定することで、死に至るケースが多い隠れ熱中症を検出できる皮膚貼付型熱中症フレキシブルセンサを開発することを主目的とする。具体的には、超薄膜創成技術、材料設計技術、表面修飾技術、および生体適合性評価技術を融合することで、暑さ指数と個人レベルでの体表面の変化との関連性について考察可能な、連続的に生体情報の変化を観察できる皮膚貼付センサシステムの構築を目的とする。 そこで本年度は、下記の2点について研究を遂行し、以下の知見を得た。まず、暑さ指数モニタリングとして、4月から9月まで、市販の乾球温度計、黒球温度計、湿球度計により、研究室内、実験室内でのミクロな地域での暑さ指数を観測する。また環境省提供による、WBGTに基ずくマクロ環境情報と上記のミクロ情報の相関の調査と情報収集を行った。その結果、構内2ヶ所にWBGTを測定し、環境省が発表している近場2ヶ所において、屋内外ともに環境省が発表しているWBGT値よりも下回る結果となった。また、夜間は屋外よりも屋内のWBGT値が高くなり。熱中症リスクが高いことを確認した。
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