研究実績の概要 |
運動想起(motor imagery)課題を施行した結果得られた脳機能マップから、運動が想起された四肢の脳活動を抽出し、構築したNF-fMRIシステムの性能評価を進めた。学習データの逐次更新を行なう様に判別アルゴリズムの改良を行なった結果、判別精度の向上を実現し運動想起による小型アンドロイドの操作性が若年群でも高齢群でも改善される事を確認した(Front. Neurosci 14, Article 623, 1-17, 2020, doi: 10.3389/fnins.2020.00623)。前年度に開発した脳機能マップのリアルタイム解析(rt-fMRI)により駆動される小型アンドロイドを介してデコーディングされた表象を提示し学習させる判別精度を4クラス分類のレベルにNF-fMRIシステムを拡張し、リアルタイム解析に用いる限られたサンプル数でも実用レベルの4クラス分類が可能である事が確認された。高齢者では活動する脳領域の拡大が生じるために、想起する運動が異なっても類似したマップが生成されるが、本研究により判別精度には影響し無い事が確認されたので、高齢者の神経リハビリに応用する道筋が確立された。健康体操教室の協力を得て実施したフィールド調査の結果、簡易体力測定による指標(PPD)と特定高齢者基本チェックリストによる自己の体力に関する主観(SRD)との関連性が判明し(International Journal of Gerontology 14, 99-103, 2020, doi.org/10.6890/IJGE.202005_14(2).0002)、特に転倒経験や転倒に対する不安が予測因子となる事が確認された。南洋理工大(Singapore)との共同研究では音のピッチ変化による意味認知は自然言語よりもより加齢に対する頑強性が高く、高齢者支援の手法として妥当である事が分かったので(Aging, Neuropsychology and Cognition. doi: 10.1080/13825585.2020.186120)、NF訓練の設計への応用が期待された。
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