研究課題
脳内脂質恒常性(リポクオリティ)異常が、様々な神経病態に関連することが示唆されている。本申請では、脳の主要なグリア細胞であるアストロサイトやニューロンに着目し脂肪酸代謝機構の解明と、精神疾患における病態生理学的意義を検証することを目的としている。本年度はグリアおよびニューロンの培養細胞において、長鎖脂肪酸に対するエピゲノム調節を介した遺伝子発現制御を中心に解析を行い、1)オレイン酸(OA)がグリア系細胞の細胞質および核内脂質滴蓄積を著明に誘導すること。2)OAは脂肪酸結合タンパク質7型(FABP7)を始めとする脂質代謝分子の遺伝子発現を誘導すること。3)OA添加後のFABP7の核内移行により、様々な増殖関連遺伝子の発現が上昇すること。4)これらの遺伝子プロモーターにおけるヒストンアセチル化がレベルがOA-FABP7により調節されていること、を明らかした(論文投稿中)。上記と併行して、ニューロンおよびグリア細胞に発現する脂肪酸結合タンパク質5型(FABP5)のノックアウトマウスの表現型解析を実施した。その結果、FABP5が記憶形成に対して重要な役割を担うとともに、青年期における環境エンリッチメントによる効果発現の上で重要であることを明らかにし論文発表を行った(Marion et al., Behav Brain Res 2022)。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件)
Behav Brain Res
巻: 425, ページ: 113814-113827
10.1016/j.bbr.2022.113814.
Mol Oncol
巻: 16 ページ: 289-306
10.1002/1878-0261.13130.