• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

カロリー制限による抗老化機構:マクロファージにおけるFoxO転写因子の役割

研究課題

研究課題/領域番号 19H04033
研究機関長崎大学

研究代表者

下川 功  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (70187475)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードFoxO転写因子 / 老化 / カロリー制限 / Inflammasome
研究実績の概要

本研究は、実験動物の老化を遅延し、寿命を延伸するカロリー制限(CR)におけるFoxO転写因子の役割を明らかにするために行われた。特に、Inflammaging仮説の中心となる炎症細胞におけるFoxO1、FoxO3に着目した。
1)骨髄球系細胞特異的Foxo1およびFoxo3遺伝子欠失マウスの寿命集団:昨年度作出した寿命集団を自由摂食(AL)、30%CR条件にて飼育している。現在、18ヶ月齢を過ぎている。体重や摂食量は野生型(WT)マウスと有意な差はない。
2)マクロファージのpriming及びinflammasomeの活性化に伴うmRNA発現の次世代シークエンシング解析:腹腔内マクロファージにおけるInflammasomeの活性化過程を検証するため、 種々の条件でマクロファージのmRNA発現変化を行った。炎症関連mRNA発現変化など、実験仮説を示唆する結果が得られた。
3)マクロファージのprimingにおける加齢の影響: Inflammasome活性化の前段階であるpriming過程における加齢の影響を検討した。LipopolysaccharideによるNF-kBの活性化を指標とすると、若年(生後2ヶ月)に比べ、中年(生後9ヶ月)では、NF-kBの核内移行が減少した。高齢期(20ヶ月)では、若年期と同レベルまで上昇した。
4)中、高年期のマクロファージにおけるInflammasomeの活性化:IL-1betaの分泌をを指標とすると、中年期のFoxo1欠失マウスでは、WTマウスに比べ、Inflammasomeの活性化が低下した。A L群において、低下度が大きかった。高年期では、WTとFoxo1欠失マウス群との差はなく、いずれのマウスもCR群がAL群よりも高かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1)骨髄球系細胞特異的Foxo1およびFoxo3遺伝子欠失マウスの寿命集団は18ヶ月齢を経過し、経時的に観察、データ収集が行われている。
2)マクロファージにおけるpriming、inflammasomeの活性化という2段階の活性化を評価するアッセイ系を確立した。
3)Foxo1遺伝子欠失マウスのマクロファージの解析が予定通り進んでいる。
4)この間、Foxo3遺伝子欠失マウスの実験グループの準備が進んでいる。
5)脂肪組織を中心としたIn vivoにおける実験群の準備も行われている。

今後の研究の推進方策

1)寿命集団:寿命集団の体重や摂食量等の経時的観察は、順調に進んでいる、2021年度中に、老齢化したマウスが自然死し始めるので、寿命データ、病理所見の収集を行う予定である。

2)腹腔内マクロファージのInflammasome活性化:2020~2021年度にかけて、18か月齢のデータを解析している。LipopolysaccharideによるNFkBの活性化を指標としたマクロファージの”Priming”過程、IL-1betaの分泌を指標としたInflammasomeの活性化過程を評価するアッセイ系を確立している。予備実験では、24か月齢では、マクロファージのプレートへの接着が悪く、解析が困難であることが示されている。腹腔内マクロファージを使った解析は、18か月齢で終了し、In vivoの実験へ進む予定である。

3)In vivoの実験:実験マウスの集団を作成し、脂肪組織におけるInflammasome活性化と炎症、インスリン抵抗性などの実験を行う準備を開始している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Does Calorie Restriction Modulate Inflammaging via FoxO Transcription Factors?2020

    • 著者名/発表者名
      Kim Sang-Eun、Mori Ryoichi、Shimokawa Isao
    • 雑誌名

      Nutrients

      巻: 12 ページ: 1959~1959

    • DOI

      10.3390/nu12071959

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] カロリー制限研究の歴史と展望2020

    • 著者名/発表者名
      下川 功
    • 学会等名
      日本基礎老化学会 第一回市民フォーラム in 松本
    • 招待講演
  • [備考] 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・医療科学専攻・長崎大学医学部病理学・病理学分野

    • URL

      https://www.med.nagasaki-u.ac.jp/pathlgy1/

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi