研究課題/領域番号 |
19H04037
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
黒澤 裕子 東京医科大学, 医学部, 講師 (90623108)
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研究分担者 |
篠原 広志 東京医科大学, 医学部, 講師 (10455793)
石 龍徳 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (20175417)
大黒 多希子 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (30767249)
浜岡 隆文 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70266518)
涌井 佐和子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (00360959)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | クレアチン誘導体 / 抗老化 / 神経変性疾患 / 脳委縮 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、クレアチントランスポーターを介さずに脳神経細胞内に取り込まれ、ATP産生能を有するクレアチン誘導体である〝シクロクレアチン”を経口投与することにより、老化に伴う脳萎縮は抑制可能かどうか、モデル動物を用いて検証することである。さらに、神経変性疾患モデル動物に対して〝シクロクレアチン”の治療効果は得られるのか、検証することも目的とした。また、本研究で得られたデータを最終的にヒトへ応用するため、ヒトの基礎的データ採取として、20~80歳代の男女を対象に、脳萎縮、認知機能、運動機能、日常生活習慣などの評価を行うことも目的とした。 研究1年目である本年度の実施計画は以下であった。【動物を対象とした研究】モデル動物を導入すること 【ヒトを対象とした研究】被検者を募集すること。 本年度の研究成果は、「現在までの進捗状況」にて報告しているとおり、計画通りには進まなかった。しかしながら、研究1年目として、研究開始のための環境整備、および実験動物導入準備を進めることができた。具体的には、超低温冷凍庫、薬用冷蔵庫などを購入し、実験開始後のサンプルや試薬の保存を可能にした。また、PCR、RT-PCR、クレアチンの予備測定を行い、アッセイ系を確立した。さらに、実験動物の行動・認知・運動機能を評価するため、コントロールマウスを用いて、モリス水迷路試験、新奇物質探索試験、Y迷路試験、ロータロッド、ハンギングワイヤー試験等の予備測定を行い、測定系を確立した。また、研究分担者と頻繁に連絡を取り合い、次年度以降の研究計画について話し合った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの進捗状況は、申請書記載計画より遅れが出ている。その理由は以下の通りである; 【ヒトを対象とした研究】臨床研究法の施行等により、研究代表者所属機関の倫理審査委員会への提出書類が煩雑になったと同時に、審査基準が厳しくなり、いまだ手続き中であるため、ヒトを対象とした研究の開始には至っていけない。また、本年度の最終時期に、新型コロナウイルス感染症蔓延防止のため所属機関独自の業務自粛要請があったため、業務が滞ったことも一因となっている。 【動物を対象とした研究】研究代表者は、現所属機関での実験動物の飼育・繁殖の経験が浅く、また現所属機関の動物センターが保有する行動解析機器に習熟していなかった。このため、コントロールマウスを用いた測定練習を頻回にわたり行った。また、現所属研究室では、これまで分子生物学・生化学実験はほとんど実施されておらず、実験環境は整備されていなかった。そこで、研究初年度にあたる本年度に、環境整備をほぼ終えた。今後、新型コロナウイルス感染症の特別予防措置解除後、感染拡大防止に細心の注意を払いつつ、早急に実験を進めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う研究施設への立ち入り制限、ヒトおよび飼育動物を対象とした実験実施の中断が解除されたのち、引き続き感染症蔓延防止策を講じつつ、細心の注意を払いながら実験を進める。具体的な推進方策は以下の通りである。 【ヒトを対象とした研究】 被験者募集:研究代表者の所属研究機関の倫理審査委員会における研究内容の審査・承認後、選択基準を満たす20~80歳代男女をリクルートすると同時に、本実験での測定精度を高めるため、以下の検査項目について予備測定を開始する。「脳画像」「脳エネルギー代謝産物」「認知機能」「運動機能」「体組成」「動脈硬化度」「生活習慣調査(食習慣、身体活動度、睡眠)」 【動物モデルを対象とした研究】 老化促進マウス (SAMP10)、パーキンソン病(PD)マウス、ハンチントン病(HD)マウス、筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスの導入を進め、実験実施に必要な同週齢マウスのコロニーを確立する。同時に、本実験での測定精度を高めるため、コントロールマウスを対象に「脳組織生化学的測定(代謝産物濃度、脳委縮等)」などの予備測定を頻回にわたり行い、測定値の精度・再現性などの確保につとめる。さらに、コントロールマウスを対象に、クレアチンおよびクレアチン誘導体の経口投与を飲水経由で行い、投与効果をあらかじめ検討しておく。
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