研究課題
アルコール性肝障害では、WTマウス、Adh5KOマウスに6か月間飲酒させ、肝臓サンプルを摘出、液体クロマトグラフ質量分析計にてLC/MS/MSメソッドパパッケージ脂質メディエーター解析にて、脂質の定量的プロファイリングを開始した。また、アルコールによる肝臓の線維化を定量的に評価するために、アルコール性肝障害の組織標本を偏光分解SHG顕微鏡にて観察した。この結果、線維化の進展具合に応じて肝臓組織の偏光度が特徴的に変化することが確認され、本手法が線維化の可逆性を評価する可能性が示された。 アルコール性骨粗鬆症について、Adh5KOマウスにおける骨形成の包括的な解析を行なった。定量的CTおよび組織染色を用いて大腿骨解析したところ、①狭い髄腔を有し、細長い巨視的形態、②BMDは増加するものの、曲げ強度は減弱し骨質が低下している、③骨芽細胞の機能亢進を示唆する、石灰化促進の所見を得た。さらに透過電子顕微鏡を用いた解析では、Adh5 KOマウスではコラーゲン繊維束の不均一性、および皮質骨全体に規則的な反復パターンが観測された。これらの結果より、Adh5の欠損は、骨芽細胞形成を優位に導き、コラーゲン産生を亢進させる一方で、線維束の集積を疎に導き、破断強度を低下せしめることが明らかとなった。アルコール性突然死では、9週齢オスのADH1KOマウスとWTマウスに水分あるいは10%アルコールを4週間投与したモデル、計4群(各5~7匹)を作製した。このうち、アルコールの心臓に及ぼす影響と、心臓における病態形成にADH1が及ぼす影響を検証するため、心室組織からRNAを抽出し、マイクロアレイによる遺伝子発現・転写の網羅的解析を行った。この結果、線維化、腫瘍形成、炎症、代謝など複数の転写経路がアルコールによって活性化され、特にADH1遺伝子の欠損がNFkBを介した炎症と線維化を促進することが明らかになった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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