研究課題/領域番号 |
19H04045
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研究機関 | 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所) |
研究代表者 |
矢田 俊彦 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所), 統合生理学研究センター統合生理学研究部, 部長 (60166527)
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研究分担者 |
中田 正範 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10305120)
岩崎 有作 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (60528420)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 希少糖 / アルロース / 摂食 / 耐糖能 / オキシトシン / バジプレッシン / 骨格筋 / 求心性迷走神経 |
研究実績の概要 |
(1)当初予定していた、オキシトシン(OXT)とバジプレッシン(AVP)の遺伝子改変動物の納入・繁殖が予定通りに進まなかったため、代替として、AVP 受容体サブタイプ であるV1a受容体および V1b 受容体の阻害剤、OXT受容体の阻害剤を投与してアルロースの効果に対する影響を調べることとした。その結果、V1a受容体阻害剤投与により、アルロースの摂食抑制作用は有意に減弱したが、耐糖能向上作用は変化しなかった。一方、OXT受容体阻害剤投与により、アルロースの耐糖能向上作用は有意に減弱したが、摂食抑制作用は変化しなかった。以上の結果から、アルロースの摂食抑制作用には主としてV1a受容体、耐糖能向上作用には主としてOXT受容体が関わることが示唆された。 (2)アルロース投与により、骨格筋および脂肪細胞において糖・エネルギー代謝の調節に関わる複数の分子の発現が変化することを見出した。 (3)求心性迷走神経におけるGLP-1とインスリンの協働作用に関しては、そのニューロンの細胞体が局在するNodose Ganglionの解析に必要な実験系の導入、整備、検出感度の上昇などの準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)当初予定していた、オキシトシン(OXT)とバジプレッシン(AVP)の遺伝子改変動物の納入・繁殖は、施設の状況により予定通りに進まなかったため、代替として、AVP V1aおよび V1b 受容体の阻害剤、OXT受容体の阻害剤を投与してアルロースの効果に対する影響を調べることとした。その結果より、アルロースの摂食抑制作用および耐糖能向上作用に関わる主たる受容体が示唆され、一定の成果をあげた。 (2)アルロースの骨格筋への効果の解析は着実に進み、加えて予想外の成果として脂肪細胞への効果が見出された。 (3)求心性迷走神経の細胞体が局在するNodose Ganglionの解析に必要な実験系の導入、整備、検出感度の上昇などの準備を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)アルロースによるGLP-1分泌を仲介する因子を探るため、アルロース投与したマウスのメタボローム解析を行う。 (2)AVP 受容体サブタイプ V1a KOマウス、AVP 受容体サブタイプ V1b KOマウス、OXT KOマウス、またはOXT受容体KOマウスにおいて、アルロース投与による摂食抑制and/or耐糖能亢進が阻害されるか否かを解析し、これらのペプチドと受容体の役割を検討する。 (3)骨格筋選択的に、交感神経アドレナリン受容体を欠損するマウスにおいて、アルロースの効果を解析する。また、アルロース投与による体温の変化を調べ、脂肪細胞と骨格筋において熱産生に関わる分子の変化を解析する。 (4)摂食、糖・エネルギー代謝と関係の深い学習記憶・不安に対するアルロースの作用について、記憶・不安行動解析を用いて解析する。
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